▲工事中も公開されている旧高雄駅舎
▲地下化事業の広報館として活用中
▲ヨーロッパの香りただよう領事館
▲高雄の夜景を見ながらのティータイム
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高雄は台湾第2の都市で、人口は278万人を数える。駅舎の横には仮設の高架道路がまたがり少々うっとおしいが、地下化に向けた生みの苦しみだ。日本時代から続く旧駅舎は高架道路の位置にあったようだが、「曳家」で移設され、台鉄地下化事業の広報施設になっていた。街を分断する線路の地下化は高雄の悲願だったようで、広報にも力が入っていた。
驚いたのは完成後の旧駅舎の処遇で、地下化の完成後には再度「曳家」して、建築当時の位置に戻す計画なのだとか。台湾で古い建物が大切にされているのは、単にもったいないという考え方ではなく、建物がそこに建った歴史そのものまでも大切にしている証である。
今日の泊りは、高雄駅から徒歩5分の宿泊施設「Single inn」。宿泊サイト経由で日本からも予約ができて、宿泊料は900NT(3,300円)。今回泊まった宿泊施設では一番の高値だが、ちょうど疲れも出てきたタイミングだし、ちょうどいいだろう。いわゆるキャビンタイプのカプセルホテルで、部屋に窓はなく、壁も天井まで通じていない。代わりに大型テレビを始め、設備は最新式で、羽毛布団はふんわりしていた。
高雄の滞在もこの夜だけなので、一休みもそこそこに、夕方6時、街歩きに出発した。高雄にも2008年に開業したばかりの捷運があり、現在は十字に交わる2路線が運行中。改札機にはICカードの読み取り機があるが、悠遊カードは使えない。台鉄やバスでは使えるのに、何て分かりにくい!と思うが、日本の地方都市でも見られる現象ではある。将来的には、全国共通化する計画だとか。
電車は台北と同様、幅広のヨーロッパ製の電車だが、3両とかなり短い。台北と同様清潔感があり、改札内の飲食禁止も同じだが、飲み物を飲んで注意されている人を見かけた。発車メロディが流れるのは日本テイストで、台北とは雰囲気が違った。
2線が交わる美麗島駅で、紅線から橘線に乗り換える。乗り換え通路は暗く、本来は広告が入っているべきであろう柱の電飾も、空白のまま。橘線の電車も3両という短い編成で、夕方のラッシュ時にも関わらずガラガラだった。台湾第2の都市とはいえ、地方での地下鉄運営は厳しいのかなと思う。
終点・西子湾駅から地上に上がると、鉄道博物館があった。旧高雄港駅舎とのことだが、18時が閉館時間だったようで残念だ。
駅から周辺の見どころまでは距離があるが、コミュニティバスのようなマイクロバスが接続していた。カードの読み取り機があったのでかざそうとしたところ、運賃はなんと無料とのこと。捷運の利用促進策の一つなのだろう。海岸に出ると、遊歩道がライトアップされ、港を眺めながら散策できるコースになっていた。
バスを降り、丘の上の旧英国領事館へ登った。入場料は100NT(370円)。赤レンガの英国式建築物で、ライトアップされた姿は港町の雰囲気ともよくマッチする。大切にされている近代建築物は、何も日本の手によるものだけではない。
ゆっくりと時を過ごしたくなり、オープンカフェでラテを頼んだ。100NTだったが、入場券に付いている割引券で70NT(260円)に。ただカフェは入場ゲートの中にあり、カフェに来る人はすべからく、全員が割引対象だ。同じような考え方の割引券は十分瀑布でも見られ、二重価格表示のようなものではと、どこか釈然としない。
細かいことを気にしなければ、涼しくなってきた風に吹かれ、虫の声を聴きながら傾けるラテは千金の味である。正月であることを忘れ、港町の夜景と対座した。
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