▲増備が続く普悠瑪号は車体傾斜方式
▲太魯閣はフルスペックの振り子式列車
▲車内はどことなく885系テイスト
▲車両間で大きく食い違う傾き
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ランチは、街中のマクドへ行ってみた。台湾に来てまでわざわざマクドと思うことなかれ、世界的ファーストフードの価格帯や味の違いを見てみたかったのだ。
韓国のようなご当地系メニューはなく、日本とほぼ同じメニュー展開。ただ値段はだいぶ安く、例えば日本で600円程度になるダブルチーズバーガーセットは109NT(400円)で、ランチタイムはさらに安く79NT(290円)だった。屋台のジュースがやたら量が多いのと同様、ドリンクはビックサイズで、ポテトにケチャップが付くのは韓国や沖縄と同様。味はもちろん、日本と何ら変わりはなかった。
駅→街へのバスは分かりにくいけど、街→駅のバスだとなんとか乗れる。そこで花蓮駅までは路線バスで戻ろうと思っていたのだけど、不思議なことに、街中でほとんどバスを見かけない。バス停を聞いている時間もないので、ホテル前に停まっていたタクシーを捕まえた。地方都市とはいえ観光地だけに、おばさんドライバーは外国人の相手に慣れている感じがした。
花蓮から台北へは、台鉄ご自慢の振り子式電車特急・太魯閣で一気に戻る。列車種別としては自強だが、車両の愛称として「太魯閣」と呼ばれている。日本製の車両で、JR九州の「かもめ」「ソニック」で活躍する885系の親戚にあたる列車だ。先頭の造形こそ「水戸岡デザイン」された885系とはだいぶ違うけど、白い塗装なので通じるものはある。
日本製だけあり、車内のインテリアは日本人から見て違和感がないが、885系と比べてみればだいぶ違う。ダウンライトが印象的な885系に対し、太魯閣は間接照明が直線的に延びる。座席も885系の革張りシートは引き継がれず、一般的なモケット張り。トイレには「和式」が健在だ。一方でインアーム(肘掛内蔵)テーブルは日本式で、台湾では初めて見た。車内妻面の鏡面仕上げのステンレスの欄間は日本でもよく見られる意匠で、どこかで見たことがあるようなのに見たことがない、日本人の鉄っちゃんには不思議な感覚にとらわれる列車である。
小ぶりな四角い窓は、885系ゆずり。885系の窓は、ちょっと小さすぎるんじゃないかという感想を持っているのだが、暑い台湾の気候にはマッチしているかもしれない。台湾では優等列車はともかく、通勤電車の窓はかなり小さ目である。
12時15分発の列車とあって、弁当を持ち込んでいる乗客が多い。発車前から駅弁の包みを開く人も多く、駅弁文化の定着度は、日本をもしのぐ印象を受けた。
他の自強号が3時間近く要する花蓮~台北を、2時間余りで結ぶ太魯閣号の人気は高く、ほぼ満席になって花蓮を離れた。客車列車やディーゼルカーとは異なるするどい加速で、数分でトップスピードに達する。
ほどなく太平洋沿岸に飛び出し、カーブの続く線路も「振り子」を作動させスピードを落とすことなく通過していく。885系の親戚に乗っているのだから、なおさら日豊本線に乗っている気分になってくる。
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