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2日目【12月29日】 台北→平渓線→基隆→台北
都市近郊のローカル線はお手軽レジャー


新線で新都心へ


▲ゲストハウスから見た台北駅舎


▲肩寄せ合う暮らしが浮かぶ四四南村



▲新と旧の対比

 明けて2日目も、すっきりしない雲が台北の街を覆っていた。物干し場兼用の共用ベランダに行って見れば、眼下には台鉄台北駅。改修工事中のようで、屋根瓦の一部がはがされてしまっている。それにしても東京駅を俯瞰するような場所に、こんなゲストハウスがあるかというと、思い当たらない。改めて、ありがたき立地である。

 今日の午前中は、まず台北の新市街地を歩いてみることにした。捷運台北駅に下り、赤いラインカラーの信義線の電車に乗って市街地へ。信義線は、1ヶ月前の11月24日に開業したばかりの新路線で、板南線と平行して市内を東西に結ぶ路線である。大阪に例えるなら、御堂筋線に平行して四つ橋線が開業したようなもので、板南線や台北駅の混雑緩和が期待されるところである。開通に際しては派手に宣伝されたようで、ホームのモニタ画面には、ラップ調のテレビCMが流されていた。

 信義線は、これまでアクセスが悪かった世界トップクラスの高層ビル「台北101」に直結したのもポイント。その台北101/世貿駅で下車してみた。もともと清掃が行き届いている捷運だが、開業1ヶ月とあってさらにピカピカである。駅構内の壁面には、独特のLED装飾もなされていた。コンコースは壁と天井のコーナーを曲線で仕上げており、やわらかい雰囲気。花が飾られ、彩も豊かだ。

 地上に上がれば、そこは整然と高層ビルが立ち並び、歩道も整備された近代的な街並みが広がっていた。さらに未来的な風景を作っていたのが、富山や韓国各地でも見られる、無人のレンタルサイクルシステム。システムや自転車そのものがよくデザインされていて、都市景観の一つになっている。実用的にも便利そうで、ぜひ試してみたい。

 ひとまず台北101を背に、四四南村へと向かってみた。市街地に残っていた、軍人家族が住む集落をリノベーションした施設で、カフェやギャラリーなどが入居している。路地裏風情があえて残された一角で、昔の都心の風景を伝える。近代的な台北101が、好対照な背景を作っている。

 四四南村に隣接して信義小学校があり、校庭はゴムの敷かれた立派な陸上グラウンドになっていた。その下は、地下の公営駐車場になっている。貴重な都心の土地を有効活用すべく、地下に構造物を作りやすいグラウンドの形式にしたのだろう。

 そのお隣には、日本でお馴染み「タイムス」のコインパーキングが進出していた。見慣れた看板には、平日用の上限料金が設定されており、運営ノウハウともども海外進出しているようだ。公営駐車場のお隣でもお構いなしという営業姿勢も、日本と同じである。

 さあ、台北101に足を踏み入れてみよう。台北101は高さ509m、一時は世界最高峰を誇ったビル。最上階の展望台からの眺めはことのほか素晴らしい、らしいのだが、入場料は500NT(1,850円)とかなりの値段である。しかし、高さを1/3で妥協すれば安く入る方法があるというので、試してみることにした。

 ポイントは商業施設棟ではなく、「LOVE」のモニュメントが目印のオフィス棟に入ること。大きなエントランスの右側に進むとマシンが置いてあり、35階のテナントフロアのレストランやカフェに、インターフォンで「行きたい!」と伝えれば、無料の整理券を貰えるという按配である。実際のところは使い方がよく分からず、まごついていたら、警備員さんが来て流暢な英語で助けてくれた。

 エレベーターで一気に、35階へ。基本的にはビル内に勤める人が対象のフロアなので、週末の9時台に開いている店は「星巴克珈琲」に限られる。スターバックスコーヒーのことだ。モーニングタイムなのか、クロワッサンにコーヒーが付いて100NT(370円)だった。

 眼下に広がる眺めは、素晴らしい。計画的に整備された街路は真っ直ぐで、整然とビルが立ち並ぶ。35階でこの眺めなのだから、89階の展望台からの眺めはさぞかしと思うが、この日は生憎の曇り空。展望台まで登ってしまっては、風景はもやの中だったかもしれない。

 なお35階のスターバックスは広い店ではないことから、滞在時間は90分に制限される。案内文は中・英に加えハングルでも出ており、実際に韓国人の訪問者も多く、韓国ではよく知られた「裏ワザ」のようだ。

 ちなみに台北101では年越しの瞬間、ビルから花火が打ち上げられる。もう2日後に迫っており、おそらくこの時点で既に花火は仕掛けられていたのだろうけど、そのような気配は微塵も感じられなかった。2日後、どこから新年の瞬間を見届けようか。



▲台北101のオフィスエリアに潜入


▲空の上のスタバ入口


▲モーニングを食べながらの絶景


街中列車、堂々行進


▲スネ夫くんは日本生まれ


▲ラッシュ対応の変則クロスシート



▲平渓線のディーゼル列車

 捷運で台北駅に戻り、地下道を歩いていて台鉄の地下切符売り場へ。郊外のローカル線・平渓線に乗るべく、窓口で平渓線の1日乗車券と、1日乗車券の有効開始駅の八堵までの切符を買った。こんな細かいニュアンスを英語で伝える術を知らないが、漢字圏なので、窓口では筆談が使えるのはありがたい。

 八堵までの電車の1本前に、台北の隣の松山止まりの電車があったので、とりあえず乗り込んでみた。日本製のEMU700型電車で、アゴが突き出た前面スタイルから、現地の鉄道ファンには「スネ夫」の愛称で親しまれている。電車に愛称が付くのは親しまれている証拠であり、それが日本アニメ由来というのも興味深いものだ。

 スタイルがユニークなだけではなく、車内はロングシートを基本としながらも、捷運と同様、一部が前向きで座れるシートがあるのは大きな改善点だ。本当はクロスシートが欲しいところだが、首都圏の輸送量では難しい面もあろうし、現実的な対応策である。

 隣の駅とはいえ、松山までは7分かかる距離で、捷運ではない鉄道路線らしい。全線地下だが、なかなかの乗りごたえだった。松山駅は10月に、JR四国の松山駅と姉妹駅締結したことでも話題になった駅である。コンコースは捷運の駅のようだが、長距離列車も発着することから駅弁ワゴンが出ているのも、対照の妙である。地下ホームに発着する列車も、電車は似合うのだが、無骨な電気機関車にひかれた手動ドアの客車列車が来ると、何ともミスマッチである。それが楽しい。

 11時13分発の基隆行き区間車は、韓国製のEMU500/600形電車。電車の区間車ではもっともポピュラーな形式で、オールロングシートである。松山止まりはガラガラだったが、こちらは吊り革も探せないほどの乗客。日本の癖で、ドア横の握り棒を探したが、設置されていなかった。新しい電車ではないが、新型電車ばりに液晶2画面の案内装置があり、文字で情報を得たい日本人にはありがたい。

 霧雨降る街中を走ること40分で、八堵駅に到着。非電化のローカル線・平渓線に直通する区間車に乗り換えた。車体は、沿線風景が派手にラッピングされている。ローカル線とはいえ、4両編成の車内はオールロングシート。立つ人も出る混雑で、ローカル線の風情には乏しい車両ではあるが、ディーゼルのエンジン音だけで何かしら旅気分が沸いてきた。

 三貂嶺までは「東部幹線」を構成する宜蘭線を走るが、車窓は渓谷が広がり、都会を脱した雰囲気になる。八堵までの電車は冷房が効いていたが、こちらは暖房。同じ各駅停車でも、空調の有無で「区間車」と「普快車」として運賃が分かれており、区間車運賃を取った以上、何かしら空調を入れなければならないようだ。

 優等列車と接続する主要な街・瑞芳で乗客のほとんどが降りたが、それ以上の乗客が乗ってきて、ラッシュ時並みの混雑になった。三貂嶺で平渓線に入り、さらに緑豊かな車窓に変わったが、ロングシートからではなかなか車窓に目をやることもできない。今日は日曜日、台北からの日帰り観光客がどっと集まっているようで、外国人の姿も多い。台湾では、気軽な日帰り鉄道旅行がブームというか、レジャーとしての地位を確立しているようである。

 八堵から1時間強で、終点・青銅着。列車は今風だったが、苔むした瓦屋根の木造駅舎は、ぐっとひなびた雰囲気だ。ホームから数段、階段を下った位置に駅舎があるのは、日本のローカル駅でもお馴染みの姿である。SL時代の給水塔が残るのも懐かしい風景だが、南国の植物がそそり立っていてようやく外国の風景だと思い至る。列車をバックに記念撮影をする人が、絶えなかった。

 青銅の界隈は、老街…古い街並みを形成していた。食べ物屋台がいくつも出ており、猪ソーセージや「粉もの」をつまみながらブラブラした。

 折り返しの列車も大混雑で、全員の乗客がなかなか乗りきれず、発車が数分遅れた。20分余りを吊り革に掴まり、十分で下車。降りる人も多かったけど、それ以上に乗る人も多くて、帰りの列車に乗れるだろうかと心配になってくる。

 さて十分の名物ともいえるのが、老街の中を堂々行進する平渓線の列車である。十分駅を飛び出し、三貂嶺方面へと駆けると、商店街へ抜けた。そのど真ん中には平渓線の線路が貫き、柵もロープもない。というか道路の一部と化しており、人々が溢れ線路が見えないほどだ。間もなく、今乗ってきたばかりの列車がやってくると言うのに…

 店の人が通行人に注意を呼びかけ始めると、汽笛が聞こえてきた。通行人は素早く建物側に避け、楽しそうにカメラを向ける。人波の中を、大柄なディーゼルカーが堂々行進。日本人にとって驚きの光景は、台湾人にとっても珍しいもののようだ。江ノ電と姉妹路線とはいえ、この列車と人の距離感だけは、別次元のようである。



▲SL時代の給水塔が残る青銅


▲しっとりと雨に濡れる青銅の街


▲十分のまちなかを堂々行進


十分の街と秘境駅を歩く


▲鉄橋に並行した吊り橋を渡る


▲ナイアガラ?的な十分瀑布



▲線路と人の距離はやっぱり近い

 十分の街を抜け、吊り橋を渡り、柵のない線路沿いの小道を歩くこと30分で、十分瀑布にたどり着いた。滝への出入口は、平渓線の線路の目の前にあり、やはりここも人の間近を列車が走り抜けて行く。滝の入口に駅があれば便利だし、線路沿いを歩くこともないのに…とは誰しもが思うのだろうが、駅を設置するような動きはなさそう。

 十分瀑布は台湾のナイアガラとも呼ばれ、水量が多く横に広がるタイプの滝である。本場のナイアガラに比べれば小さなものなのだろうけど、大分のナイアガラこと原尻の滝よりは水量が多く、迫力を感じられた。雨がちな天候にも助けられているのかもしれない。

 線路が貫く十分の街に戻ると、十分名物「天燈」がいくつもふわふわと空を舞っていた。本来は2月のランタン祭りで上げるものだが、観光客相手のランタン屋さんがいくつもあり、いつでも願いことを託して上げることができるようだ。日本語や韓国語が書かれたランタン屋さんも多くて、韓国人経営の店まである。

 このランタン、平渓線の線路から上げるのが「習わし」のようで、色んな意味で非日常の体験は楽しそう。それにしても火を灯したランタン、どこに着地するのだろう。山火事の原因にはならないのだろうか。そんな疑念をよそに、「ダイエット、仲良し、億万長者」なんてどこまでが願い事なのかよく分からないランタンが、空へ舞っていった。

 駅前では、出店で猪肉の串焼きをほおばる。注文を受けてから焼き始める串焼きは、アツアツだった。そういえばまだ、まともにお昼ごはんを食べていないが、ちょいちょいつまんでいるので、空腹感はない。

 十分発15時38分の列車はやはり満員だったが、どうにか隙間に潜り込むことができた。席に座る人々越しに、雨に煙る渓谷美を楽しんでいたが、東部幹線と合流する三貂嶺を前に、列車はピタリと止まってしまった。東部幹線の信号待ちなのだろうが、車内放送はウンともスンとも言わず、地元の人も気にする素振りはない。10分後、列車は何事もなかったかのように動き出した。歩き回りすぎて、ボチボチ腰が痛くなってきた齢32にとっては、なかなか辛いひと時ではあった。

 その三貂嶺駅で下車。今乗ってきた列車を写真に撮っていると、車掌さんから「乗らないの?」と声を掛けられた。わずかな停車時間に写真を撮るという行動が理解されているあたりも、鉄道趣味の浸透ぶりがうかがわれる。「いいえ、降ります」と身振りで伝えると、おもむろに4両のディーゼルカーは走り去っていった。

 三貂嶺は平渓線の分岐駅ながら、駅前には狭い歩道しかなく、幹線上の秘境駅として知られている。改札を出る時、駅員さんから「日本人ですか?」と声を掛けられた。そうです、次の電車まで散策しますと返すと、困ったように「日本語は分かりません」との答え。最低限の日本語を覚えられているのだろう。ありがたいことである。

 三貂嶺駅には何人か駅員さんが詰めておられるようで、向かい側のホームへ行くにも構内踏切しかないため、列車が通過する度に2人の駅員さんが出て警戒に当たる。日本だったら、地下道かこ線橋でも設けて、とっくに無人化していることだろう。

 切符売り場には2つの窓口があり、1つは「臨時切符売り場」になっているのだが、さてこの窓口が開くことはあるのだろうか。待合室には昔の写真が飾られ、人手の入った雰囲気に安心感を覚えるが、改札上に掲げられた「空襲時避難位置図」に、準戦時下であることを思い知らされた。

 駅の周辺には何もないというか、目の前が川のため何も立地できないというのが実態。駅前の道を花蓮方面に歩くと、川との間の狭い土地に廃屋が立っていた。屋根もすでになく、ただの廃屋にしか見えなかったのだが、銘板が取り付けられていて、なにやら文化財のようである。歩けば集落もあるようで、次の電車に乗るため、地元の方々が数人集まってきた。



▲三貂嶺駅そばの廃墟?ではない史跡


▲派手やかなラッピングディーゼルが立ってゆく


▲列車進入時は駅員さんが守る構内踏切


ネコの街、アヒルの街


▲猫とふれあえる跨線橋


▲駅をバックにたたずむネコ


▲港に浮かぶ巨大アヒルちゃん

 次の電車で一駅、侯硐へと移動した。宜蘭線ではあるけど、平渓線の1日乗車券の効力内なので乗り降りは自由だ。侯硐は「猫の村」として知られた界隈で、駅裏の集落とを結ぶ こ線橋は、猫と触れ合えるベンチが設けられている。今台湾では狂犬病が流行していて、猫も触らない方がいいとの情報を得ていたのだが、地元の方は気にせず膝に乗せて触れ合っていた。

 駅裏の集落が猫村で、地元の生活空間なので、外の人間としてはお邪魔する格好。猫の餌が売られ、通りのあちこちには「猫小屋」があり、大事に可愛がられていることが分かる。日本だったら迷惑に思う人も多かろうし、賛否両論の中で猫で町おこしなんてアイデア自体、頓挫しそうな気がする。猫の愛され方は、日本より強いのだろうか。猫グッズの店は何軒もあり、猫好きの友人らへのお土産を買い求めた。

 駅の表側に回ると、石炭工場の博物館があった。なるほど、ここも炭鉱の街だったか。展示は洒落た雰囲気のディスプレイがなされており、いい雰囲気のカフェも併設されていた。野良猫は、ここにも迷い込んでくる。もっと、ゆっくり過ごしに来るのもよさそうな街だった。

 もう一駅移動して、瑞芳駅へ。平渓線の1日乗車券は、この駅まで有効である。いい加減「屋台メシ」しか食べていなかったので、小さな飲食店が十数軒入った地元向けのフードコート「美食街」で軽くご飯を食べることにした。

 外国人も多く来るようで、食堂のおやじさん、「ヒュヒュヒュ」と効果音を付けながらホウキの柄でメニュー表を差し、これ?これ?と聞いてくれた。魯肉飯はお茶碗一杯だったけど、20NT(75円)という安さ。地元の人はテイクアウトしていく人が多く、お惣菜屋さんとしても機能しているようだった。

 瑞芳駅からは、映画「千と千尋の神隠し」のモデルとされる九份を目指す。行列のできている、金瓜石行きのバスに乗れば間違いないというネットでの情報を元に、やってきたバスに乗り込んだ。ところが一向に着く気配がなく、周囲の明かりも少なくなってきたと思ったら、今度はやたらと都会になってきた。ビルが増え、海が見え、海には黄色い巨大アヒルが浮かぶ。どうやら逆方向のバスに乗り、基隆へ出てきてしまったようだ。

 反対方向のバスに乗って、九份へと戻ってもいいのだが、せっかく基隆に出てきたのだからと気を取り直して、市内見物することにした。海に浮かぶ巨大アヒルは「ラバーダック」と称し、世界を旅するアート作品である。基隆での展示は20日に始まったばかりで、見物客で溢れていた。基隆行きのバスに乗る人が多かったのは、ラバーダックの効果もあったようだ。海上にプカプカと浮かぶ高さ18mのアヒルちゃんを見ていると、こっちの気持ちも自然と和んでくる。

 街中もアヒルちゃんグッズだらけで、バスの行先表示にも夜市のノボリにも、アヒルのワンポイントが入っている。売店や夜市の売り子さんも、かわいいアヒルの帽子をかぶっている人が多い。台湾全土で大ブームになっているようで、「黄色小鴨 快楽基隆」のキャッチフレーズに乗せ、基隆観光の起爆剤でもあったようである。

 しかしこのわずか2日後、アヒルちゃんは謎の大爆発を起こし最期を遂げた。愛されていただけに台湾での衝撃は大きく、全国で大ニュースとなってしまったが、すぐに修理して、年明けには復活したようだ。

 港町基隆の魅力は、何もアヒルちゃんだけではない。港町らしく、味わいのある近代建築が並ぶ。駅前の建物は「ビルヂング」と呼びたい、近代のオフィスビル的な風合いがあった。市役所は新年の飾り付けがなされ、レインボーカラーにライトアップ。古い建築物に、新たな彩りが加えられていた。

 ほぼ1日中歩き、だいぶ疲れてきたのでメシにもありつこう。明日は平日なのに、基隆夜市はまっすぐに歩けないほどの人出だった。どの店にも食事中のお客さんがたくさんいるので、「この人が食べてる、コレ下さい!」というジェスチャーが使えるのは助かる。まずは蟹油飯と蟹スープ。蟹のうま味がよく出ていて、うまい。セットで75NT(280円)である。基隆名物の「天婦羅」は、あまいタレで食べる練り物。結局3軒をハシゴして、お腹がいっぱいになった。

 夜市の表通りは黄色い提灯が並び、「黄色い浅草」とでも例えたい風景になっていた。興味深いのは、道路側に出店が出ているのに、建物内でも別の店が営業をしていること。道から目立たず商売になりにくい気がするけど、夜市が人を呼び込むことで商売も潤うという算段なのだろうか。

 改めて九份に向かってもよかったけど、またいく機会もあるだろうと割り切って、8時前の電車で台北へと戻ることにした。区間車のホームは頭端式(行き止まり式)になっており、港町の終着駅らしい風情。台湾の人はあまりホームを歩きたがらないらしく、最後尾の車両は大混雑だったのに、先頭へ行くにしたがってガラガラになっていった。エアコンの効いた車内で台北まで50分を、うつらうつらしながら過ごした。

 台北駅へ戻り、ワンデイトリップが終了。宿の部屋はすでに見知った顔なので、今夜も酒盛り。楽しい毎日が続くのだった。



▲彩り添えられた近代建築


▲屋台で蟹メシを味わう


▲黄色い浅草状態の基隆夜市

▼3日目に続く
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