▲地獄の風景を楽しめる心に共感
▲台湾の思う日本の姿が見えた百楽涯
▲昔ながらの台湾式高層建築も温泉旅館
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火山帯に属する台湾では、時に大地震の辛酸をなめることもあるが、温泉という大地の恵みも受けている。首都・台北近郊でも例外ではなく、特に北投温泉は捷運でアクセスできる手軽な観光地だ。大晦日の夕方は、4日間の旅の疲れを一旦リセットすべく、温泉を目指すことにした。
信義線から淡水線に乗り継ぎ、民権西路からは地上区間を走る。車窓には古びた集合住宅が並ぶが、隣り合う建物の間隔が数メートルしかない。窓からの日当たりなど、真夏でも皆無ではないかと思うが、暑い国だけに日当たりはこだわらないのかもしれない。
北投駅で降りると硫黄臭が漂ってきて、温泉地が近いことをまず嗅覚で感じる。温泉は一人で行っても寂しいので、ルームメイトさんと新北投行きの電車内で合流。示し合わせたわけでもないのに、たまたま時間が合い落ち合うことができた。
ちなみに淡水線は、新店線・信義線の2線から直通運転されているが、淡水まで直通する新店線に対し、信義線は北投止まり。どうせ北投で折り返すなら、新北投に直通すればいいのにと思っていた。しか新北投支線の3両編成の区間電車は、派手にラッピングされた特別仕様。車内にはタッチパネル式の情報装置があり、温泉の情報を仕入れることができる。この観光電車を走らせたいわけか。
高架をゆっくり走ること3分、あっという間に新北投駅着。駅自体はありふれた高架駅だったが、駅前から川沿いを遡って行くと、日本の温泉地に通じる風情が沸いてきた。高層ビルのホテルが林立しており、秘湯というよりは熱海や別府といった、大規模温泉旅館街の趣である。
入場無料の地獄谷まで登ると、青い湯からもうもうと湯気が立ち込めていた。湯量も豊富なようで、川へと大量の温泉が流れ込んでいく。川も充分に温かいのだろう、足湯を楽しむ人々の姿が多く見られた。温泉旅館からの廃湯も流れ込んでいるので、あまり推奨はされていないようではあるが。
さて、どの温泉に入ろうか。ガイドブックを見ると、その名も熱海大飯店の値段がお手頃なようなので、川の左岸を歩いていると、熱海の横に百楽涯温泉酒店なる新しい温泉旅館ができていた。聞いてみれば、大浴場は台湾式の水着着用ではなく、裸で入れる日本式ということで即決。280NT(1,040円)となかなかいい値段ではあるが、この界隈では安い方である。玄関は唐破風、ホールには鎧兜が飾られ、これが台湾の人の思う日本のイメージなのかなと思う。
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