▲島と学塾村に朝が来る
▲鹿たちに見送られ
▲小値賀の路地裏を巡る
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夜も開けやらぬ朝6時、寝床を抜け出した。木の廊下をきしませながら静かに玄関を開け、裏のフェンスをくぐって野首教会への石段を登る。眼下に見えるのは今まで寝ていた自然学塾村、その下に広がるのは大海原だ。
静かな海から、生まれるように朝陽が登ってくる。太陽に照らされ、色付き始めた海と雲、そして芝の草原。早起きの鹿たちが、昨日と変わらず、残り少ない草をはむ。新しい、朝が来た。
朝ごはんを食べ終わった後は、部屋と台所の掃除を済ませる。研修施設なので、すべてセルフ。転職以来関わってきた子ども達との活動で、「自然の家」的な研修施設の利用には慣れたので、このあたりの段取りはあまり迷わなかった。無事に時間までに整理を終えて、荷物をまとめて出発である。大きな荷物は行きと同様、軽トラが送ってくれた。
朝陽を浴びてオレンジに染まる教会も、朝陽のオレンジに負けない青い海も、丸1日も過ごせば名残惜しい存在である。林の中からは何匹もの鹿が現れ、短い住民だった僕らを見送ってくれた。峠道を越えれば、野崎集落である。
野崎港で、24時間ぶりに船を迎えた。休日はまだ1日続くのに、朝早く立ってはもったいない感じだが、8時5分の船に乗らねば福岡にたどり着けないため、致し方なし。
帰路の船はデッキで過ごした。ひょうたんにも似た姿の島影と、見慣れたレンガの教会が、遠くに離れて行く。
小値賀に舞い戻ってきた。人口2,500人ののどかな島ではあるのだが、野崎島から帰ってきた身にとっては、とんでもない文明社会に来た気がするといっては大げさか。
博多行きの船は午後発、まだまだ時間はたっぷりあるので、処女地の島を存分に楽しみたい。島内に路線バスが走っているのは立派だが、天気もいいのでレンタルサイクルを借りた。路地にまで迷い込めるので、機動力抜群。アップダウンは多い島だけど、電動アシスト付きなのでラクラクである。ペダルを漕ぎ出し、出発進行!
島の集落には町屋形式の民家が並び、時代がかったいい雰囲気。リフォームされ、旅館に生まれ変わった町屋もある。坂道を登った先には、広い駐車場と3階建てのRC造建物という、スケール感の違う一角が突如現れた。そこは島民の生活を支える拠点、町役場だった。
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