▲闇に溶け込む黒い機体
▲見慣れた博多駅に戻って間もなく、未知の島へ
▲快適な夜を過ごせるグリーン寝台
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予告通り30分遅れで、闇に溶け込む黒い機体に案内された。SFJは飛行機の機体内外から制服、WEBサイトまでCIを貫いているのが特徴で、機内には黒のゆったりした革張りシートが展開する。簡素化が進む他社と異なり、飲み物の無料サービスや全席装備のテレビモニタなど、サービスも充実。LCCとは一線を画す会社である。
離陸後、東京の夜景が見える間の景色は楽しいのだが、都内を抜ければ機体と同じく、漆黒の闇が包むのみ。ミュージックサービスやビデオサービスが、旅の無聊を慰めてくれる。ミュージックチャンネルは福岡のFM局・CROSS-FMのプロデュースで、TVにも福岡の経済番組や音楽番組がプログラムされており、地元福岡の翼であることを感じさせる。ただあちこちに回した挙句、「秘密結社・鷹の爪」に落ち着く人が多かったのは面白かった。
結局30分の遅れは取り戻すことなく、福岡空港着。地下鉄で博多駅に出て、3日前に預けておいた荷物を取り出した。中身は着替えと、アウトドアの服装である。多目的便所で仕事着から着替え、鞄に詰め込み、さきほど荷物を取り出したばかりのロッカーに再度詰め込んだ。
見慣れた博多駅ビルに、福岡へ帰ってきたことを実感する間もなく、22時前の西鉄バスで博多港へ。満員状態で、さすが離島航路出発直前のバスだと思ったのだが、途中で続々降りて行き、博多ふ頭まで乗った人はわずか数人であった。
ウォーターフロントとして様々な施設が展開する博多港だが、温泉施設「波葉の湯」は夜行船の乗船前にはありがたい存在。船旅の前にのんびりくつろいで…という絵を描いていたのだが、飛行機の遅れで、20分少々のカラスの行水になってしまった。以前は露天風呂に1ヶ所だけあった源泉かけ流し浴槽が、循環式になっていたのも残念。この1ヶ所が、評価につながっていたのに。
ベイサイドプレイスのコンビニで寝酒を買い出しして、フェリーターミナルに向かった。五島行きフェリーの名前は「太古」。離島航路らしい、飾り気のない実質本位の船だが、旅気分が盛り上がる名前である。
今夜の根城は、2,000円の追加でベッドで眠れるグリーン寝台を抑えてもらった。JRの寝台料金に比べればさしたる値段でもないのに、船員さんに席まで案内され、なんだか恐縮してしまう。
部屋に入れば、他の寝台はすでにお休みモードで、抜き足差し足でベッドイン。どうやら早い時間から乗船できるらしく、早朝下船でも充分な睡眠時間を取れるように工夫されているようだ。バスが混まなかったのも、乗船時間が長く、乗客が分散するからなのかもしれない。
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