▲ツルっとおいしい十割蕎麦
▲白樺の林を行く
▲気軽な千m級登山
|
山を下り、Fさんが舞い降りてくる頃には、お昼時。猪苗代町を福島市方面へ抜ける道の途上にある、お蕎麦屋さんに立ち寄った。もともと茅葺だったんじゃないかと思わせる農家風の家で、蕎麦は十割なのに白い。ほどよい弾力は、たまらない食感だった。
福島へは国道115号線、土湯バイパスが近道なのだが、磐梯吾妻スカイラインに入った。日本の道百選にも選ばれていると聞いては、見逃せないし、通り逃せない道路である。115号線より30分ほど時間がかかるそうだが、Fさんも相馬からフライトに向かう際は、よく通っているのだとか。また沿道には野趣あふれる温泉も多いらしく、Sさんもよく訪れる地域とのことである。
もとは有料道路だったのでゲートがあるのだが、今年7月に無料化され、フリーパス。急カーブの上り勾配をいくつもクリアし、高度が上がるにつれて、植生が目に見えて変化してきた。緑の中に白樺の木々が立ち、九州では馴染みのない風景だけに、遠くに来た感もひとしおだ。山の上の方では紅葉も始まっており、一足早い秋を満喫である。
浄土平で休憩。ドライブインのようでもあるが、ビジターセンターを併設しており、登山や湿原散策の拠点にもなっている。中でも周囲500m、深さ70mの火口が圧巻の吾妻小富士へ、たったの10分で登れてしまう散策コースは見逃せない。
標高1,707mの山に、サンダル履きやラフなシャツの人々が大挙登って行くのだから、なかなかシュールな光景である。今回はパスしたけど、1時間かければ火口の「お鉢周り」も可能なのだとか。振り返れば、噴煙を上げる一切経山の雄姿も。九州だと、こんな山に登ろうと思ったら相応の装備が必要なものだけど…恐るべし、福島!
浄土平を出ると、火山性ガスのため窓を開けられない区間に差し掛かった。硫黄の崖は崩れやすいものと思われ、防護の鉄柵が張り巡らされているが、それらも赤く錆びついている。ここに道を通した先人の努力や、そもそもここに道を通そうと思った想像力に脱帽。さて、バイクが通行する時はどうするんだろう?
深い谷を渡る、不動沢橋でも一休み。一度架け替えを行っているようで、旧橋の橋脚だけが残っていた。目もくらむ高さの谷を越えたのは、1955年のこと。先人たちの努力で開通したスカイライン、維持管理も大変だろうし、無料で通っては申し訳ない気もする。橋の向こう側には、福島市の市街地が見えてきた。
|