硫黄島への航路は、鹿児島港を9時半に出航する。久留米からでも朝の新幹線で下れば間に合うのだが、せっかくの旅。取り損ねていた代休を金曜日に充て、金曜日は鹿児島周辺をぶらりと楽しむことにした。
となれば新幹線で急ぐ必要もなく、選んだ交通機関は高速バス。新幹線開業後も安い運賃を武器に、むしろ乗客を伸ばしている。ネットで予約した往復割引運賃の8,000円は、新幹線の半値以下だ。飛行機の早割に相当する「席割」を活用すればもっと安くなったのだが、旅立ちを決めた頃には時すでに遅し。2週間前には、ずらりと満席の×印が並んでいた。
高速バスに乗ろうとすると、まずインターのバス停まで出るのが一苦労なのだが、久留米の東部方面に出勤する友人に送ってもらい助かった。5社の共同運行になっている鹿児島行「桜島号」だが、7時42分発の鹿児島行は西鉄高速バスの担当便。最前列の1A席があてがわれていたが、足元が狭いとのことで後ろの席への移動をすすめてくれた。
バスはガラガラ、僕を合わせても5人しか乗っていない。台風接近で、旅行を取りやめた人が多かったのかもしれない。しかしこの人数でも「席割」が満席とは、一体何席が「席割」対象便なのだろう。
3列の座席は、ピッチこそ新幹線にはかなわないものの、幅はゆったりしていて快適。大きな窓は新幹線にない楽しみで、九州山地の風景を楽しめる。曇り空の隙間からは時々晴れ間ものぞき、台風接近を忘れそうだ。鹿児島に近付くころにはパラパラ降りになってきたけど、さしたる勢いではなかった。
本を読み、惰眠をむさぼっていれば、あっという間に鹿児島の街。久留米から3時間10分、鹿児島中央駅向かい側に完成したバスターミナルに降り立った。昨年完成したばかりのターミナルはピカピカで、発車案内のメロディが都会の駅を連想させる。内装にも投資を惜しまなかったようで、新幹線の駅はもちろん、空港をもしのぐ高級感が漂う空間だ。昼ごはんをどうしようか悩んでいたが、ターミナル地下に手頃な値段の鉄板焼き屋さんがあり、鹿児島らしく黒豚バラ焼肉で早めのランチとした。
鹿児島中央駅に行くと、駅ビル「アミュプラザ」の増床工事のため、シンボルだった大階段の撤去工事が始まっていた。見慣れた風景が消えるのは寂しいが、駅ビルは当初から計画されたもので、大階段は仮の姿だったという。本来計画されてきたターミナルが実現するのだから、喜ばしいことなのかもしれない。
|
▲宮原SAで小休止。少し晴れ間も見える
▲新しいバスターミナルはガラス張りで明るい
▲大階段の撤去工事が始まった鹿児島中央駅
|