▲わりと立派な三島方面待合所
▲次々に生活物資が積み込まれていく
▲テープの見送りを受け、感激の出航
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いつまでも寝ていたい気持ちをこらえ、気合いを入れて7時半に起床。3,800円の朝食がどんなものか、期待半分、怖いもの見たさ(食べたさ)半分だったが、お寿司屋さんの出す和食の朝ごはんは期待以上の味だった。二日酔い気味なのにモリモリ食べられたのだから、間違いないだろう。
荷物をまとめ、8時半に出発。港までの途上で、3,800円以下の宿が何軒か見つかったけど、まあ次回以降の参考ということにしておこう。徒歩10分少々で港湾地区へ。種子島や屋久島方面へは立派なターミナルもあるのだが、三島、十島(としま)方面航路は別棟の、小さな待合所が向き合っていた。窓口で、往復の2等乗船券(7千円)を求める。JRの硬券を横長にしたような体裁で、乗船時に鋏を入れられた。
三島村への航路は村営で、三島発限定の往復割引があるあたり、生活航路としての役割が大きいことを物語る。船体には三島の名前に加え「M"LINE」と大書きされており、マルエーフェリーの「A"LINE」に通じるが、「パクリ」ではなかろうな。
船内は3層になっており、2等船室は2・3層に分かれているが、3層は宗教団体の貸し切りになっていた。通常の利用客は2層の船室に押し込められた格好だが、混雑しているわけでもない。
4層には甲板があり、後方に大きく広がる景色を楽しめそうだ。岸壁を見下ろせば、生活物資を積み込むフォークリフトが慌ただしく動く。見送りの風景もあちこちで見られる。島の生命線として活躍する様子を垣間見るもの、離島航路の旅の醍醐味である。
9時半、出航の時間を迎えた。離れて行く船と岸壁を結ぶテープに、交わされる「行ってらっしゃい」「行ってきます」のエール交換。誰がどこに行くのかも分からないが、部外者にも胸熱くなる見送りの風景だ。ボードで作った巨大な「手」を振る親子もおり、行ってらっしゃいの声はその姿が見えなくなるまで続いた。
離島航路だけではなく、桜島や大隅半島を結ぶ航路も多い鹿児島港。港内は、高速線やフェリーが錯綜し、賑やかで活気を感じるが、船長は緊張の連続でもあるだろう。南西諸島に下る時に見送ってくれる桜島は、今日は雲に隠れたままだった。
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