▲TOP ▲鉄道ジャーニー
1日目2日目

1日目【5月17日】
神戸1dayクーポンでミナト神戸満喫

久留米→博多→神戸市内



まずは「みずほ」で関西へ

 5月17日、神戸で開かれるシガーロスの公演に行きたいのだが、一人旅は慣れないという職場の同僚の誘いで、5月17日〜19日の2泊3日で神戸・大阪に行くことになった。彼の目的はシガーロス1本だとは思うが、せっかく関西まで行くのなら、観光もめいっぱい楽しみたい。

 関西といえば、私鉄各社の「スルッとKANSAIネットワーク」で使える割引きっぷが多彩な地域。関西広域の私鉄・バス・ケーブルカー乗り放題の「3dayチケット」は何度も使っているが、かなり広い範囲で「乗り鉄」しないとモトが取れない。それによくよく考えてみたら、いつも広範囲で「乗り鉄」することに必死で、神戸や大阪市内の観光地は思いの他行っていないことに気付いた。

 そこで今回は、行き先を神戸と大阪の市内に限定。それぞれの街が乗り放題になるフリーパスを手に、めいっぱい「2都」を楽しんでくることにした。

 まずは1日目、神戸までのアクセスは「みずほ」に乗った。地元・久留米には停車しない列車だけど、博多〜新大阪では「のぞみ」より早く、4列シートでゆったりしているので、つい選んでしまう列車である。ビジネスクラス並みの席でコーヒーを傾ける気分は、なかなか贅沢だ。

 九州新幹線全通効果で好調だった山陽新幹線も、昨年の相次ぐLCC就航で乗客数は落ち込みを見せており、格安きっぷの導入で巻き返しを図ろうと必死だ。今回利用したのはネット限定の「スーパー早特きっぷ」。14日前までの購入、変更は一切不可などの制約さえ甘受すれば、片道1万円(定価の約2/3!)という激安っぷりである。

 政令指定都市のみに停車し2時間11分、あっという間に新神戸着。爽やかな六甲山の風がほほを撫でた。


▲鹿児島から上ってきた「みずほ」に乗車


▲六甲の麓の新神戸着


KOBEのウォーターフロントを歩く


▲新神戸の駅売店はサークルKに


▲公営地下鉄ながら関西テイスト満載の神戸市営地下鉄



▲鉄板焼ステーキに舌鼓

 新幹線新神戸駅から、長い連絡地下道とエスカレーターを経由して地下鉄新神戸駅へ。このエスカレーターに乗る時、意識して右側に立つことで、関西に来たことを我が身に刷り込ませるのが習わしだ。もっとも遠来の人が多い新幹線の駅、どちらへ立つかの混乱も、しばしば見られる。

 地下鉄駅の有人窓口で、さっそく「神戸街めぐり1dayクーポン」を購入。市営地下鉄、神戸高速鉄道、ポートライナーが乗り放題で900円という1日乗車券である。

 というとあまり安い感じがしないが、このきっぷは観光スポットで使える「神戸街遊券」650円分が付いているのがミソだ。観光施設で650円を有効に使えば、たったの250円で神戸市内の電車が乗り放題という計算である。対象の観光施設は、異人館や博物館、遊覧船など「王道」の名所が揃っており、観光目的で来るのならば間違いなく「はける」ことだろう。

 さて2年半ぶりに乗る神戸地下鉄の変化といえば、駅内の売店が、これまでの外郭団体から大手コンビニの営業に変わっていたこと。大阪では「橋下改革」の一環で話題になった売店のコンビニ委託だけど、神戸は大阪より半年早く、去年の1月には切り替わったそうである。2年半前の12月29日に来た時は、年末年始休業に入っており面喰ったが、コンビニになった今は年中無休とのこと。

 地下鉄に乗り、まずは三宮駅へと抜ける。路面電車から受け継がれてきたという緑色が、上品な車両だ。優雅なフォントの形式番号も、路面電車譲りである。車内に目を転じれば、カバーのかかった蛍光灯や、少ないポールの類が関西テイスト。窓の鎧戸は、阪急に通じる。いきなり関西の洗礼を浴びられる神戸地下鉄は、お気に入りだ。

 1駅の三宮で下車。時間は12時前、腹が減っては戦はできぬ!というわけで、駅からほど近いステーキハウスに乗り込んだ。場末のスナックでも、もうちょっとましな雰囲気だと思えるようなエレベーターに乗り、大丈夫かいな?と山ちゃんと顔を見合わせていたが、エレベーターの扉が開くと、別世界が広がっていた。鉄板の前で腕をふるうコックたち。テレビの中でみたままのステーキハウスだ。

 後から気付いたが裏口から入ってしまったようで、玄関から入れば構えも立派な店だったようだ。奮発した神戸牛のランチの とろけるような味わいに、目の前で焼かれる迫力も調味料に加わって、大満足のひとときだった。

 阪急とJRの三宮駅をくぐり、 三宮・花時計前駅から地下鉄海岸線に乗る。その名の通り神戸のウォーターフロントを結ぶ路線で、観光の足としても有用なのだが、三宮駅がやや離れていて不便だ。乗客はそこそこいるように見えるものの、4両のミニ地下鉄。運行頻度も、さして密ではない。

 みなと元町駅で下車。階段を上がり地上に出ると、鉄骨に支えられた屋外とも屋内ともつかない空間に迷い込んだ。外に出て振り返ってみれば、レンガ造りの建物が現れた。明治41年築の、旧第一銀行神戸支店。その外観のみを残した駅舎?とのことだ。歴史的景観を残していこうという姿勢は素晴らしいけど、痛々しくも感じる。JR上熊本駅の外観だけを残した、熊本市電の上熊本電停を思い出した。

 道路を渡って神戸港へ。ポートタワーのたもとから出航する、神戸港巡り遊覧船に乗船した。何社かの航路が競う遊覧船だが、乗船料はいずれも千円で、神戸街遊券が使える。先々街遊券を使う機会もなさそうなので すべて券を出し、差額の350円を支払った。

 この日は初夏を思わせる快晴で、デッキに出れば緑の六甲山に青い空、そして白く輝く神戸の街!東に太平洋を望む別府育ちの僕には、海辺の街で建物が陽を浴びるのは午前中までという、妙な先入観がある。しかし南に海がある神戸では、海から見た街は1日中陽に輝いているのかと妙に感心した。

 造船所で定期点検中の潜水艦や、神戸空港の誘導灯、ポートアイランドの大学群など、案内放送があればこそ分かった豆知識にいちいち感心。船内販売の生ビールを傾けつつ、ごきげんな気分で過ごした40分の航海だった。

 船を降りて、うみえモザイクへ。木のデッキから眺める神戸港は、嫌でも神戸に来た気分にさせてくれる景観である。同じようにデッキからの展望を楽しむのは、僕らと同じ観光客。平日にも関わらず、賑わっている。半分はアジアからの観光客で、同じく平日昼間のキャナルシティが思い出される光景であった。

 ショッピングゾーンを抜けて観覧者の根本に出れば、そこはアンパンマンミュージアムの入口。ウッドデッキがヲーターフロントの雰囲気を作るモザイクの中にあって、ミュージアムはその名の通り、現代美術館のような雰囲気。まだ開館したばかりのようで、子連れが多かったのは、アンパンマン効果もあったようである。

▲近代建築物の外壁だけを遺したみなと元町駅


▲輝く神戸の街を一望できる遊覧船


▲アンパンマンミュージアムはまた違った雰囲気


個性的な神戸の街々


▲長田の街を見守る鉄人の後ろ姿


▲清楚な居留地界隈



▲ディープな「モトコー」に潜入!

 ハーバーランドを抜け、再び海岸線の人に。海岸線の駅はハーバーランド前という独立した駅名を持っているが、実際はJR神戸駅と一体である。三宮とは逆パターンで、世を惑わす。終点、新長田まで乗りとおした。

 新長田といえば、阪神大震災で大きな被害を受けた地域。震災復興の区画整理事業はほぼ完了し、復興のシンボルとしてお目見えしたのが、鉄人28号の雄姿である。駅から徒歩数分。JR神戸線の電車からよく見える鉄人だが、近くでみると一層の迫力。無粋な立ち入り禁止柵がなく、直に触れるのものもいいところだ。

 ただ真横の商業施設は、閉店してしまったばかり。大火災の跡にできた再開発ビルと商店街も、決して好調ではないと伝え聞く。各ビルは地下鉄の駅から地下で直結し、雨にぬれずに生活できる便利な界隈になっているのだが…鉄人と同じプロジェクトで生まれた三国志ミュージアムも、人影は少なかった。今日が平日だからと信じたい。

 一方、商店街の中にある震災ミュージアムは、思いの他小さな施設だった。東日本大震災からの復興もままならぬ今、神戸がどのように再起してきたのかも注目される昨今である。長田の復興の道のりをもっと詳しく知りたいと思う人は、多いんじゃなかろうか。

 今度は地下鉄・西神山手線で三宮に戻り、生田神社へ。都心にありながら緑豊かな境内である。さらに参道を通り抜けて、旧居留地界隈へと抜けてみた。近代建築の「ビルヂング」が立ち並び、それらの雰囲気を生かした店舗が洗練された空気を作っている。街路や街路樹の雰囲気にも気を配られており、歩いて気持ちのいい街だ。

 そのまま街路を歩いて中華街へ。リアル中国には行ったことがない身としては、当たり前だが長崎や横浜と同じ空気を感じる。本格的なメシにはまだ早い時間だったが、300円のミニ麺と生ビールを出す良心的なお店があり、600円のおやつをすすった。韓国ではそれこそ数えきれないほど食べた「ジャージャー麺」は、韓国のそれと似ても似つかぬものだった。いや、こっちが本物の味に近いのか。

 北側の山陽本線側に踵を返し、神戸駅から元町駅の高架下に連なる商店街、通称「モトコー」に潜入。昭和と平成が交錯する、ディープな空間である。服屋にダンススタジオ、中古レコード店が並び、爬虫類の専門店の向かい側にはおしゃれカフェといった具合に、混沌とした店舗構成が面白い。掘り出し物が見つかりそうでもあり、チャレンジショップ的な風土も感じられた。

 元町駅からは、三宮センター街へ抜ける。金曜日の夕方、人通りも増えて来る時間だ。屋根から下がる大型ビジョンのカバーは、東日本大震災の津波で被災した鉄工所の力作。震災前に発注されていたもので、支援のひとつの形として、工場の再開までいつまでも待ったのだという。1dayパスを持ちながらぐるりとひと歩きしてしまったが、それほどに神戸は歩いても楽しい街だ。

 三宮から公演会場のポートアイランドへは、ポートライナーがアクセス手段。無人運転のポートライナーは先頭まで客席になっていて、山ちゃんは物珍しげだった。この後に乗ったポートライナーでも先頭が空いていないか探しており、もう立派な鉄っちゃんである。

 ポートライナーは島内まで片道240円という高運賃なので、1dayクーポンもあっという間にモトが取れてしまう。時間もあったのでさらに欲張り、神戸空港まで足を延ばしてみた。神戸空港は近年の地方空港らしくコンパクトなつくりで、ポートライナーの空港駅から搭乗口までものの1分という近さである。

 飛行機の発着だけではなく、海上空港からは神戸市内の風景や、遠く明石海峡大橋を望む展望も楽しめる。屋上にはレストランや芝生広場もあり、のんびりしに来るのもいいかもしれない。

 ポートライナーで市民広場駅へバック。便利なポートライナーなのだが、空港アクセス手段でありながら全国ICカード共通化に参加していないのは解せない。神戸空港発着便の大半はスカイマークの羽田便であり、せめてSuica・Pasmoだけでも共通化しておいてほしいところ。意外なところでは神戸電鉄も共通化に参加しておらず、ICカードがどこでも使えるわけではないことは、覚えておいた方がよさそう。もうICOCAを持ってくる必要もないと思ってたが、次回からは念のために持って来よう。

 市民広場駅から、公演会場のワールド記念ホールへ。シガーロス、僕が日頃聞く音楽とはずいぶんかけ離れていたけど、壮大な世界観に2時間呑み込まれていった。

 公演終了後は、会場規模が大きいだけに、ポートライナー市民広場駅も入場制限がかけられた。空港から上ってくる電車はストレートに三宮方面に向かうが、島内ループの電車はポートアイランド東側を迂回し、5分余計にかかる。スタンディングで疲れてもいたので、空いている迂回便に乗車。次の南公園前では、シガーロス帰りの乗客がどっと乗ってきた。入場制限を避けて、一駅歩いた人が多かったようだ。

 興奮を覚ますように、静かな島内の夜景を見ながらゆっくりと三宮へ。1日大活躍だった1dayクーポンは、ここで打ち止めである。ほぼ半日ではあったが、利用金額は遊覧船の割引分も含めて2,310円分にもなり、2.5倍使ったことになった。無理にガツガツせずとも、普通に1日観光していれば充分にモトが取れるチケットと言えそうである。


▲賑わってきたセンター街と、街を見守る復興のシンボル


▲ポートライナーに乗りポートアイランドへ


▲シガーロスの世界に浸かる


夜景のきれいなホテルに泊まる


▲JRホームから見る阪急も「神戸」を強く感じる風景


▲なぜかエキストラベッドが準備されてた



▲六甲アイランドと神戸の夜景を一望

 三宮からは、別払いでJR神戸線に乗り、住吉駅へ。この駅に降りるのは18年ぶり。あの時は震災で神戸線の灘〜住吉間が不通になっており、並行する阪急は逆に三宮〜御影間のみ運行中。三宮から阪急に乗り換え、阪急御影からJR住吉間を徒歩連絡していたのである。乗り換え客で錯綜していた様子が思い出せないほど今夜は静かだったし、駅前も再開発が進み景色が一変していた。

 11時前とあって開いている店もわずかだったが、国道沿いのラーメン屋さんが待つ人がいるほどの大混雑で、潜り込んでみた。九州人としてはラーメン=とんこつの固定概念があるものだけど、人気の「非とんこつラーメン」の店は興味があるところ。なかなかおいしかった。

 住吉から、神戸のもう一つの人工島・六甲アイランドを結ぶのが、六甲ライナー。こちらもICカード共通化には参加しておらず、手持ちのnimocaもSUGOCAも役立たず。ひさびさに紙の切符を買った。

 六甲アイランドは高層マンションの並ぶ住宅街でもあり、帰宅方向のラッシュが存在する。それも11時過ぎというのに、ほとんどの席がふさがったのは意外だった。灯りの少ない人工島に入り2駅、アイランドセンター駅着。

 今日の泊まりは、駅から直結のホテル・神戸ベイシェラトン ホテル&タワーズである。日頃まず泊まらないであろう高級ホテルをチョイスしたのは、たまたま宿泊予約サイトに激安プランがあったから。5千円より安い宿ならいくらでもあるだろうけど、ものは試しにと投資してみたのである。

 ゆったりした内装、センスある調度、そして窓に広がる神戸の夜景…これ以上ないシチュエーションなのに、隣にいるのが山ちゃんとは、返す返すも残念である。今日の神戸街歩き自体も含めて、次回素敵な人と来るための下見ということでお互い納得させ、1時過ぎ眠りに就いた。


▽2日目に続く
inserted by FC2 system