車内には金属製のイスが展開しており、室内空間は釜山金海新交通に比べて広め。1両運行ではあるが、通勤時は3分、休日昼間でも6分という高頻度運行で輸送力を確保している。
空席をかなり残したまま、始興駅を離れた。発車の度に「手すりにお掴まり下さい」との放送が流れるのはダテではなく、ぐっと加速感を感じるほどの加速を見せてくれる。
エバーラインも、新盆唐線や釜山金海新交通と同様の無人運転なので、前後の車窓は思いのまま。物珍しさから前後には人垣ができていた。子どもは大喜びで、大人も写真を撮る人が多く、開業から日が浅い雰囲気を感じ取れる。釜山金海新交通は2011年の開業から時間が経っていることもあり、前後の車窓に目をやる人はいなかった。
空いていた電車も、龍仁の市内に近付くにつれて乗客も増え、吊り革がふさがるほどの混雑になった。ソウル方面へアクセスよりは、都市内の気軽な街乗り電車として使われている様子が伺える。このあたり、金海市内の利用が目立った釜山金海新交通に通じるところがある。
ほとんどが高架区間ではあるが、起伏のある土地なので、ときおり地上レベルを走るのは面白い。線路のアップダウンやカーブも普通鉄道に比べれば格段に多く、リニアモーターカーの性能を遺憾なく発揮していた。
30分あまりで、終点の前垈(チョンデ)・エバーランド駅に到着。電車の進行方向左手は住宅街で、右手は広大な駐車場。園内にプールやサファリまで擁す一大レジャーランド、エバーランドのものである。高校3年生(1999年)の訪韓時に遊びに来たことがあり、あの時は水原からバスで1時間揺られた。同行者はバスに弱く、苦難の道中だった。
エバーランドの正門までは距離があり、エバーラインで来た乗客も、マイカー客と同様、シャトルバスに乗り継いで行く。見た限りシャトルバスは頻発しており、エバーラインで訪れても不便はなさそう。韓国でも子どもの日だったこの日、エバーラインに乗って親子連れで訪れた人も多かったようだ。
ただ龍仁市内の乗客がメインだったのは観察した通りで、電車を乗り継ぎ2時間の道のりとなるソウルからだと、やはりバスやマイカーが主役であろう。ディズニーランドに向かう京葉線の混雑とは、天地の差である。
復路では、往路に見かけた「市」が気になり、金良場(キムニャンジャン)駅で降りてみた。駅からは川を挟み、延々2駅間に渡って市が展開。農産物から日用品まで、何でも売っている。在来市場の多い韓国ではあるが、ここは常設の市場ではないようである。調べてみれば、古くからの歴史を持つ「五日市」とのこと。この日の電車が混んでいたのは、五日市に行く人が多かったのも理由だったようだ。
庶民的な市を歩きながら、地域の足として地に足を付けた経営こそが成功の鍵と思えた、エバーラインの沿線散歩だった。
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▲イベント塗装車が多く、標準カラー車はごく少ない
▲高層ビル街の中を走る
▲エバーランド駅は、テーマパークの玄関らしい雰囲気も
▲五日市を見下ろし走るエバーライン
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