干潮で岩場ののぞく海岸線を望みながら、快調に走る。山に折れ、立派な松島有明道路の無料区間を走って松島着。トイレ休憩の間に、地元の方が数人乗ってきた。
夕暮れに染まり始めた東シナ海を見ながら、天草五橋を渡っていく。松島まではほとんど停留所がなかったが、天草の島々ではこまめに停車。松島で乗ってきたおばちゃん方も、大矢野島で降りて行った。特急ではなく超快速なのは、この運行形態ゆえかもしれない。
天門橋を渡れば、三角へ。三角西港の海は、オレンジに染まっていた。九州近代化遺産に名を連ねる西港は風情満点で、海を臨むカフェがあったのを思いだし、降りたい衝動に駆られた。JR三角線と並行するように、半島の北側を東へ。数時間前までいた島原半島が、もやの先にかげっていた。
熊本駅前を経由し、熊本交通センターへ。熊本駅より市街地に近く、新幹線開業後に福岡〜熊本間のバス利用がむしろ増えたのも、この地の利によるものだろう。基山乗り換えで帰ろうかと、福岡行きのスーパーノンストップ便に乗ろうとしたところ、基山は通過と聞いてビックリ。鹿児島行きや宮崎行きですら全便停車なのだから、当然熊本便もすべて停まるものと思っていた。
次のノンストップ便で基山まで行くより、さらに次の各停便で久留米インター下車にした方が早そうなので、空いた時間を使って地下のラーメン屋へ。熊本ラーメンを味わい、この地に来た証とした。
空港行きの「ひのくに号」は西鉄担当で、nimocaも使える。これが熊本の会社担当だと熊本共通バスカード「To熊カード」が使えて、便利なような、アテにできないような。4列座席でトイレ付だが、座席周りの作りは島原号より簡素で、「県内高速バス」と「長距離高速バス」の中間的な位置付けのようだ。
交通センター発車時の乗客は、なんと僕一人。なんとも寂しいことになったなと思っていたが、熊本市内で小まめに止まる間に何人かの乗客を拾う。熊本インターは市街地から遠く、高速に入るまで37分を要した。この間の需要も逃さないわけだ。
かと思えば高速に乗ってすぐのバス停で降りる人もおり、都市間高速バスながら気軽に利用されているようだ。途中のバス停では、後続の福岡行きを待つ列ができていたし、高速バスで帰ってくる家人の迎えか、バス停前で待つ車も多い。それにしては各バス停は素っ気ない作りで、出迎えスペースも充分ではない。駅だと、気合いを入れて整備されることが多いのだが、地域によっては遠来の人が高速バスで訪れることも多いはず。高速バス停も街の玄関口して、もっと整備されてもよいと思う。
ほぼ渋滞もなく、久留米インターでは例によって「東合川商工団地」まで歩いて空港バスを捕まえた。西鉄久留米駅でも、家に近いバス停経由のバスがすぐにやってきて、絶妙なタイミングで帰宅できた。たまには、バス中心の旅も面白いものである。
ところで毎度無意味な計算だとは思うのだが、今回の行程でまともにバスの運賃を払ったらどうなるか?nimocaの乗り継ぎ割引も考慮に入れて計算してみたところ、なんと24,630円にもなった。額面の2.5倍、かなり使い出のあるきっぷである。また、鉄道で行けないどこかに行ってみよう。
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▲本渡バスセンターに入る「超快速」
▲天草の島々を渡る
▲空港行き「ひのくに」で帰路へ
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