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隣街、釜山 vol.2
1日目
おっかなびっくり格安ツアー

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 職場の同期・こんちゃんから、11月に釜山へ行かないかと誘われた。なんでも2泊3日で1万1800円という激安ツアーがあるらしい。現地に夕方着、帰りも朝発という悪条件ではあるのだが、激安ツアーにありがちな「土産屋への強制連行」がないのはありがたい。
 2年半もご無沙汰している韓国にも行きたいし、格安ツアーの正体も気になる! 二つ返事でOKし、紛失したままになっていたパスポートの再発給を急いだのだった。

3時間の快適な航海

 待ちに待った11月30日(金)、朝イチで合同庁舎へパスポートを取りに行き、昼前の九州新幹線に乗って久留米を出発。居酒屋で和食の昼ごはんを食べ、日本としばしの別れを惜しんだ後は、博多港国際ターミナルへ向かう。

 例によって緊張感ゼロの出国審査を終え、免税エリアに入ればびっくり。免税店が倍近い大きさになっているし、待合室も3倍くらいになっていた。なにぶん2年半ぶりの出国、いちいち変化に驚く。

 釜山まで乗るのは、韓国の船会社、未来高速のジェットフォイル・コビー。以前はJRのビートルとライバル争いをしていて、格安チケットを使ってよく利用したものだが、両社の業務提携後は価格破壊も終焉し、すっかりご無沙汰していた。

 新造船らしく、船内はピカピカ。ゆとりある座席も健在だ。ただトイレは韓国式…つまり「用済み」の紙はごみ箱に捨てなければならず、この点は特に女性からの評判がよろしくない。ビートルでは映画が流れているモニタも、こちらは韓国のバラエティ番組で、言葉が分からないと疎外感を味わうことになるだろう。

 2階席はガラガラのまま、なぜか5分早く出航。荒天時は船酔いに苦しむ日韓航路だが、今日はほぼ「凪ぎ」。バス並みの揺れで、快適な航海だ。免税売店の営業も始まり、免税とウォン安で、韓国ビール1本+コーラ1本2百円と激安である。まずは前途を祝して乾杯!

 約2時間で対馬とも別れを告げ、夕暮れの公海を1時間航海すれば釜山港へ。巨大タンカーと、山を覆う巨大マンション群は何度見ても圧巻で、福岡とは比べ物にならない大都会に来た感を強くする。港をまたぐ大きな斜張橋が建設中で、数年後にはさらに景観を変えそうだ。

 


▲ひさびさのコビーは新造船


▲釜山港では大きな斜張橋を建設中

格安ホテルの正体は?

 出国手続きを終えロビーに出ると、JTBの現地係員が待っていた。格安ツアーではあるが、港からホテルまでの送迎とチェックイン手続きの代行はあり、初心者でも安心である。少し待ってもらい、釜山銀行で1万2千円を両替。衆院解散・総選挙のあおりで、100円=1260ウォンと円安に動いていたのは残念だ。3枚混じっていた5万ウォン札は今回初めての対面で、財布が厚くならないのはありがたい。

 同じツアーにはあと1組の5人グループがいるとのことだが、待てど暮らせど現れない。僕らは韓国に慣れているし、地下鉄で行きますよとガイドさんに水を向けてみたものの、「お客様」を街に放り出してよいのかは、手に余る判断のようだ。40分待って結局見切り発車したのだが、5人組さんはタクシーで先回りしたとの連絡がホテルから入った。安いツアーほど、困ったお客さんが多いという、添乗員のバイトをしていた頃聞いた話を思い出す。

 20分ほどで宿泊先の国際観光ホテル着。激安価格だけにラブホまがいの3流ホテルではないかと心配だったのだが、少し古さを感じるくらいで、清潔、広々、快適な部屋だ。アナログテレビのチャンネルを回すとイキナリAVが現れて面喰ったが、その点さえ気を付ければ、家族旅行でも問題なさそうである。

 


▲レンタルケータイは毎度おなじみSKで


▲想像以上に「まとも」だった格安宿

カルビとパジョンをはしご

 6時も過ぎた、まずは夕飯だ。ホテルのある凡一(ポミル)は街外れだが、地下鉄に乗ればどの街にも近いのが強み。デジ(豚)カルビで有名な草梁(チョリャン)へも3駅である。

 草梁駅から5分も歩くと、あるある、路地裏の店という店からうまそうな匂いが漂ってくる。夕方6時過ぎとあってお客の入りは少ないが、若者を中心に満員の店があり、どうにか二人潜り込めないかと嘆願してみたが、けんもほろろ。来年1月まで有効の1割引券を貰ったものの、使うことはなさそう。

 仕方なく街を二回りしてみて、2番目に混んでいた「銀河カルビ」へ。1人前7千ウォンのテジカルビを、3人前オーダー。タレに漬け込まれたカルビ肉が登場、タレが蒸発してきたら食べ頃だ。サンチュに包んで一口…うまい。豚肉とは思えない味わいに、男二人、もくもくと平らげたのだった。

 食べようと思えばまだまだいけるのだが、短かい旅行なので食事の回数を稼ごうと、腹6分目に抑えて店を出た。さらに地下鉄で下り、釜山の昔からの繁華街・南浦(ナンポ)へ。以前は南浦洞(ナンポドン)と呼んでいたが、住居表示の変更で、日本の「町」に相当する「洞」が消えた。中央洞駅も中央駅になってしまい、何か落ち着きが悪い。

 週休二日制が定着した韓国、週末への解放感にあふれた釜山市民で、街はごった返していた。光復路では早くもイルミネーションが始まっており、華やか。8時を過ぎても開いている店が多く、歩いているだけでも楽しい。裏手の巨大市場、国際市場は店じまいが始まっており、こちらは明日の楽しみにしよう。

 光復路の先は豚足通りと呼ばれるエリアだが、豚足に限らず各種飲食店が勢ぞろいしており、居酒屋風の食堂へ。ロフトのように客席が2層に分かれていて、なかなか面白い雰囲気だ。港町らしく、海鮮パジョン(韓国風お好み焼き)をつまみに、生ビールを1杯やった。これもうまい!

 それにしても、バイトの子たちがえらくあたふたしている。混んではいるが、それ以前に慣れない感じ。店もきれいだったので、帰りにレジで「開店してそんなに経ってないみたいですが、いつ開店したんですか?」と聞いてみれば、今日オープンとのこと。どうりで! オープン記念のタオルを貰い、えらくおしゃれな箱で中身に期待したのだが、中身はださい、ごく普通の広告タオルだった。



▲まずはテジカルビを食らう!


▲イルミに賑わう南浦の繁華街


▲海鮮パジョンをつまみに

新市街の夜も下見

 もう11時だが、明日に備えて新市街も下見しておこうと、地下鉄で上り西面(ソミョン)へ。1日乗車券(約350円)を買っているので、交通費がかからないのはありがたい。主だった見どころは地下鉄沿線に固まっており、観光には便利でお得だ。各駅の自動券売機は日本語対応なので、言葉が分からずとも無理なく買えるだろう。出てくる1日乗車券が普通のきっぷサイズなのには面喰うが。

 地下鉄の車内は、とにかく一心不乱にスマホを見つめる人々でずらり。ケータイの頃もそうだったが、輪をかけて増えた気がする。初老の入り口に立っているようなご夫婦が、スマホをいじっている(しかも、めいめいで)姿は、なかなかの違和感だ。そんな今の世相を「スマホ中毒」と評した韓国人がいたが、しっくりきた。なんだか怖い気もするが、この国民性が世界で勝負できるスマホ技術を育てたのも確か。5年前、ウィルコムの元祖スマホを持って韓国に行ったら、みんな興味津々だったことを思い出す。

 西面の街並みは整然と縦横に並んでおり、アーケードのない歩行者天国に人が溢れる様は、旭川を連想させる。賑わいは南浦と互角か、それ以上だ。

 街の変化といえば、日本製の生ビールを飲める店がずいぶん増えた。数年前から日本式の居酒屋がブームになっていて、日本語の看板や提灯は珍しくなくなったのだが、日本製の生は居酒屋に限らず、HOF(ビアカフェ)やレストランにも広まっている。アサヒ、キリン、サッポロ、サントリーの4ブランドを取り揃えている店もあり、この点は日本より進んでいるかも。中ジョッキ250円程度の国内ブランドに対し、グラスで500円前後とだいぶ高値だが、人気を博しているのだろう。酒好きの友達から、日本の生の泡のやわらかさを感動する声を、いくつも聞いたことがある。

 韓国ナンバーワンのコンビニだったファミマが消えたのも、大きな変化。日本系企業が異国で大活躍している姿を心強くも思ったものだが、今回きれいさっぱり消滅していた。もちろんつぶれたわけではなく、ブランド名がCUに変わっただけなのだが、うーむ、身近な感じが遠のいたな。

 その「CU」で酒を買い出しして、宿に戻ったのは12時過ぎ。歩いた歩いた、しかし明日も早起きだ。

 


▲オープンまもないH&M


▲西面は不夜城

▼2日目








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