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 三月十五日に発表された、開業三日間の九州新幹線利用率は、衝撃的な数値だった。博多~熊本間では、昨年同日の在来線特急に比べ、121%の利用者数。増えてこそいるものの、開業ムードに乗って倍増という予想に比べれば、相当に厳しい数値に留まった。ガラガラだと感じていた各駅停車のつばめに至っては、平均乗車率わずか18%である。熊本以南では、直通効果から161%と想定以上の伸びを見せてはいる。

 開業という大きな節目から三日間がこの数字ならば、今後はもっと低空飛行になってしまうのではないか、前年の在来線の数値すら割ってしまうのではないかと危惧をしていたが、その後はかなり持ち直してきており、開業一ヶ月の段階では目標値に近付いていているとのこと。出張の需要が減り、観光旅行にも出控えムードが見られる中、被害のない地域の鉄道でも、利用者の減少が続いている。そんな中でも九州新幹線は、まだまだ健闘している方といえるかもしれない。

 一方、震災の影響で消えたものに、九州縦断ウェーブのテレビコマーシャルがある。新幹線のCM自体は早い時期に放送が再開されていたが、祝賀ムードを前面に押し出したCMだけに、放送自粛が続いていた。ひっそりと公開されていたJR九州のホームページと、動画投稿サイトに投稿された動画だけが、見ることができる手段だった。

 ところが震災後しばらくたった頃から、見ていて元気が出てくるCM映像ということで、静かに話題になり始めた。動画の再生回数は一ヶ月目の時点で七十万回を越え、コメント欄には感動を伝えるメッセージが続いた。地元の新聞やローカルニュースでも取り上げられ、それがまた反響を呼ぶというウェーブも巻き起こした。JR九州にも、放送再開を求める声が相次いだようだ。

 現実的には、まだまだ日本は「祝!」などと言っていられない状況で、とても当たり前のように流せるCMではないと思う。それでもJR側は、リメイクして何らかの形で放送したいとコメント。あれだけの感動を呼ぶCMを作った製作陣であれば、祝賀ムードを消しても、元気を伝えられるCMに再編集してくれるだろう。あるいは、もっと大きな感動を呼ぶようなCMに仕上がるかもしれない。
 「ひとつになった九州から、日本は楽しくなるはずです」
 公開がいつになるか分からないが、CMの最後のメッセージのように、楽しさが日本に元気を運んでくれることを期待している。

 

▲注目を集めていた博多駅の縦断ウェーブギャラリー(3/21)


▲車での利用者を集める新鳥栖駅(3/26)


▲新鳥栖駅では島内列車も乗降客で賑わう(3/26)








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