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 新幹線と共に、新駅ビルオープンで面目を一新することになった、九州の玄関、博多駅。二〇〇五年から八年までの三年間、博多駅経由で通勤しており、旧駅ビルの解体や夜間工事の様子を眺めてきたこともあって、こちらも思い入れが深い。JR九州のクレジットカード「JQカード」の会員は、三月三日のオープン一日前に招待会があるとのことで、ぜひ一足先に行ってみようと楽しみにしていた。

 ところが、やはり鉄道好きを周知しておくと機会に恵まれるもので、さらに一日前に開かれる内覧会へ行ってみないかとのお誘いを受けた。もちろん二つ返事である。

 内覧会の時間は午後一時から四時までで、一時過ぎに博多駅に着いてみれば、外にはすっかり大行列ができあがっていた。内覧会というから、限られた建築関係の人を招いたようなものかと思っていたのだが、テナントはすべて開いているらしく、プレオープンのようなものらしい。明日のJQカード会員向け招待会では、さらに多くの人が集まるはずで、徐々に来場客を増やして練習しようという狙いがあるのかもしれない。

 大博通り側のオープンデッキに折り返しの大行列を作り、十分ほどでようやく中へ。建物として見た印象は、アラや不自然な部分がない、洗練された空間だなということ。なんとも言えない居心地の良さは、ミッドタウンや、なんばCITYに行った時のような感覚である。いい意味で、これまでの福岡にはなかったような場所ができたと思う。

 ひとまずお腹も空いたので、レストランフロア・くうてんへと上がった。屋上からの自然光が降りてきて、オープンスタイルの店もある開放的な雰囲気。名だたる名店から気軽な餃子屋まで、なんでもござれのレストラン街である。沖縄料理の店に入り、タコライスとオリオンビールで乾杯した。

 お腹もふくれたところで、屋上の「つばめの杜ひろば」へ出てみた。広大なフリースペースで、あいにくの天気ではあるが、デッキからは博多の街を一望できる。市街地に近い福岡空港の影響で、博多駅周辺には建物の高さ制限があり、同じ位の高さのビルがずらりと並ぶ風景は、他の都市にはない独特のものだ。

 「鉄道神社」なる施設?もあり、表参道にはずらりと名産品の露店が並ぶ。おしゃれな駅ビルにあって古風な一角だ。参道にはJR九州の列車のみならず、この博多駅のデザインでも手腕を奮ったデザイナー・水戸岡鋭治氏の姿もあり、テレビのインタビューを受けられていた。

 鉄道ファンにとって嬉しいのは、タイル画の壁をクランクした先にある、列車展望スペースだろう。JR九州の在来線はもちろん、山陽新幹線も一望にできて、長い身をくねらせながら出入りするソニックやのぞみを眺めれいれば、一日いても飽きることはなさそう。今日のところはゆっくり眺められたが、オープン後には子ども達が集まりそうである。

 阪急百貨店や東急ハンズも見たいのだけれども、なんせ時間の限らている内覧会なので、後日のお楽しみにして三階へ一気に下る。駅ビルに直結した改札口があり、列車から駅ビルへのアクセスはもちろん、デッキを通って博多バスセンターにもつながっており、ストレスなく移動できるようになりそう。

 ビルの規模に対して意外なほど少ない、四台の自動改札機の並んだ改札口を抜けると、広大な空間が広がった。オープン前に募集した三万枚近くのタイルを貼り詰めた、タイル画の柱が圧巻だ。傾斜した窓ガラスからは、博多駅に出入りする列車を真上から見ることができる。キッズチェアーも並べられ、こちらも開業後には子どもたちの歓声が響きそうである。

 嬉しいのはカフェコーナーがあることで、ネスカフェの屋号は見えるが、JRの客室乗務員さんが出迎えてくれた。しかもコーヒーは二百五十円と割安。列車を眺めながらのコーヒーは格別で、待ち時間も豊かなものになりそうである。

 同行者とともに、二階のアンデルセンカフェにも足を運んでみた。こちらは在来線ホームに面しており、小さめの窓からは、列車の窓下のあたりが見える。こちらは列車が見えることをウリにしたわけではなさそうだけど、駅の雑踏の気配は感じられて、日常感とのギャップに贅沢さを感じられた。

 九州初上陸の東急ハンズや阪急百貨店、豊富なテナントが入るアミュプラザ博多も楽しいが、「列車が見える」ことを大切にした空間が多いことが、僕にはなにより嬉しかった。とても半日で見て回れる規模ではなく、オープン後もちょくちょく足を運ぶことになりそうである。

 

▲内覧会とはいえ、万単位の人が押し寄せた


▲屋上からは行き交う列車を一望


▲テレビ取材を受ける水戸岡氏の姿も


▲列車を眺められるカフェ


▲11両のリレーつばめで久留米へ

▼開業前日に続く








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