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変わり行く韓国のローカル線を行く
7日目
広がる釜山都市圏、延びる電鉄網

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伸び行く最新鋭の地下鉄3号線

 朝7時、東横イン釜山中央洞店で迎えた朝。最上階に上ってみると、東側に面している廊下の窓から、朝日が昇る直前の釜山港を見渡すことができた。港側の部屋を取れば夜景も朝日も楽しめ、なかなかの立地と思う。

 東横インのサービスの一つである「朝食無料」は、ここ釜山でも健在。おにぎりやトーストなど、簡単な朝ごはんを食べられる。日韓の客は半々といったところ。一時期バリアフリーに対する考え方で世間のひんしゅくを買ったホテルではあるが、培ったホテル経営の哲学は韓国に受け入れられるのか、今後も見守っていきたい。定価の5万ウォンで泊まる気はしないが、割引があったら、また利用したいと思う。

 今日は、2時のビートル出発までフリータイム。荷物を中央洞駅に預け、自動券売機で1日乗車券を買った。1年前の秋に買ったときは券面に何も書かれておらず、僕らはおろか駅員までも惑わせた1日乗車券だが、今回はきちんと「1Day pass」と印字されていた。

 お隣釜山駅まで移動して、KTX乗り場へ。わずか1駅、亀浦(クポ)駅まで乗車した。亀浦までは地下鉄・バスが通じているが、時間さえ合えば列車が圧倒的に早い。もちろんKTXなので料金は高く、パスがなければ絶対にこんな乗り方はしなかったと思うが、釜山近郊のKORAILにも電車が走っていれば、大いに利用されるだろう。西面、凡一洞など繁華街を経由しているのも強みだ。

 わずか15分の亀浦で下車したのは、もちろん僕一人。釜山北部の拠点駅として乗車する人は多く、ここも「新横浜」的地位を築いている駅である。慶州経由のKTX専用高速線が開通すれば、亀浦をKTXが経由することはなくなるはずだが、利用者の多さを見ていると、何本かは現状通り大邱までは在来線経由になるのではなかろうか。

 亀浦駅は、駅前広場が整備され拠点駅らしく整備されていた。地下鉄3号線の亀浦駅へは、広場からペデストリアンデッキに上がり数分のアクセス。屋内で直結していれば便利なのだが…

 3号線の亀浦駅は、2005年に開業したばかり。地上の高架駅で、大きなドーム型の開放的な駅舎だ。もちろんホームドアも完備しており、最新鋭の電車がワンマン運転で活躍している。まずは現状の終着駅である、大渚(テチョ)駅方面へと向かった。

 京釜線の車窓でもお馴染みの洛東江(ナットンガン)を渡れば、江西区庁(カンソグチョン)駅。その名の通り、立派な江西区役所が駅前にそびえているが、その他には住宅が点在する程度。ほとんどの乗客が降りて、車内はガラガラになった。

 田んぼばかりの、およそ地下鉄らしくない車窓を見ながら、終着・大渚へ。駅南側には幹線道路沿いに車寄せが整備され、新開地らしい風情をかもし出していたものの、駅前らしい風景はなし。道路の上には「軽電鉄」なる新交通システムが建設中で、開通の暁には乗り換えターミナルとして機能することになるのだろう。

 「バス乗り換え」の案内に従い、駅の反対側に出てみて驚いた。なんと駅の外とアクセスする道は、まさに「農道」だったのだ。駐輪場や駐車場は整備されているが、駅前開発はまだまだ先といった趣。都市計画上の用途地域変更もまだなのではなかろうか。目下、未来を待つ終着駅だった。

 


▲大きなドームに覆われた亀浦駅


大渚駅前では「軽電鉄」も建設中


▲反対側は農道がアクセス!?

市域を飛び出した釜山版「広域電鉄」梁山線

 3号線で戻り、徳川(トッチョン)駅で2号線に乗り換えた。2号線のホームドア設置駅は限られるものの、デザインされた安全柵は設けられており、特に車椅子用スロープのある位置の手すりデザインは秀逸だ。ホームドアと同様、広告費で柵の設置費用を捻出しているようであるが、乗継ぎ駅の徳川ですら広告が埋まっていないと、この方式で賄えるのか心配にもなった。

 釜山を東西に結ぶ2号線も延伸が進んでおり、2008年1月にはついに釜山市外へ抜け、梁山(ヤンサン)市へと飛び出した。このことから地元メディアでは「梁山線」という呼び方も定着しており、釜山初の「広域電鉄」を見聞しようと梁山方面の電車に乗り込んだ。

 1号線、3号線の電車よりも幅広な、立派な「電鉄規格」の電車にゆられる。地上に飛び出した電車は、洛東江を見下ろしつつ京釜線と併走し、湖浦(ホポ)駅へ。延伸前の終着駅で、渡り線や車両基地を有しており今でも拠点駅だ。梁山まで行く電車は2本に1本だが、幸い直通電車だったので、そのまま座っていた。

 延伸区間に入った電車は、洛東江にかかる橋をゆっくり、ゆっくりと渡った。南梁山(ナミャンサン)駅までの間にある曾山(チュンサン)駅と、目下韓国一長い駅名の釜山大梁山(プサンデヤンサン)キャンパス駅の2駅は、駅前が未開発ということで通過駅になっている。

 駅設備は案内看板まですべて出来上がっており、ホームには清掃員まで入っていた。そして電車のダイヤもどうやら開業前提のものになっているようで、ゆっくり、ゆっくり、止まるような速度で通過した。なんともバカバカしい。未開業なら、高速で通過してせいぜい速達サービスに勤めればよいではないか。

 もどかしい走りで南梁山から梁山へ。現時点での終着駅、梁山駅は、地下鉄のそれとは思えないほど大規模だ。梁山新都市の玄関口として、威信をかけて建てられたのだろう。

 駅前に広がる新市街は、すべてのものが新しい。ソウルやその他の都市でも見てきた「新都市」と同じ、よく言えば整備された、悪く言えば無機質な街並みが広がっている。一方の駅裏は川で、堤防上は手ごろなジョギングコースになっていた。高密度でごく限られた範囲の都市開発は、一方で手近な場所で自然を親しめるというメリットも持つっている。

 KORAILの電鉄化に、広域化する地下鉄網。ソウルのような広がりを見せ始めた釜山の鉄道網に、いずれ韓国全土に「電車」が走るのではないかという予感が、よりリアルに感じられた。

 


▲グリーンが爽やかな2号線


▲未開業駅付近は開発途上


▲威信を賭けるかのように立派な梁山駅

海雲台オンリーの旅も

 次は、釜山東部のリゾート地・海雲台(ヘウンデ)にできつつある新市街地をのぞいてみよう。海雲台方面へは2号線が直通するが、西面(ソミョン)をU字型に迂回するルートを通っており、その間を3号線が一直線に結ぶという線形になっている。そこで徳川で3号線に乗り換え、急行電車代わりにショートカットしてみた。時刻表を確認してみたわけではないが、水営(スヨン)で2~3本は前の電車に乗れたはずだ。

 水営から2駅、センタムシティー駅で下車。コンベンションセンター・BEXCOのある街として有名だったが、最近ロッテ百貨店やホームプラスなどの大型店がオープン、3月には新世界系列の大型ショッピングモールができる予定…と、大開発が行われているエリアだ。

 まずはBEXCOに潜入。大規模なホールやイベント会場を備えており、釜山の幕張といったところか。幼児向けキャラクターのイベントが開かれていたお陰で、子供たちで大賑わい。長い長い冬休みの遊び場になっているようで、全市域から集客しているようだ。

 続いてロッテ百貨店へ。デラックスで、細かい点にまで気が配られたビルはロッテ共通で、気持ちよくショッピングを楽しめる。お隣のホームプラスは、これまた全国共通の、気軽に買い物できるディスカウントストア。お土産のお菓子や海苔は、ここで仕入れた。土産用ではない、一般的に韓国で食べられているものをお土産にするには、うってつけだ。

 リベラなどの中堅百貨店はあった海雲台だが、これだけ大規模な商業施設が立地すれば、わざわざ西面まで行かなくても買い物を楽しめそう。海雲台は温泉と海を楽しめ、カルビや魚介類も味わえる、安心して楽しめるリゾート地。福岡から安く楽しめる観光地として、家族旅行におすすめしてきたけど、買い物もできるようになれば、この街で完結するような旅行でも充分楽しめそうだ。

 ホームプラスのフードコートで石焼ビビンバを食べれば、もうタイムアップ。地下鉄に乗り、フェリーターミナルへと急いだ。

 帰路はビートルの普通席。ちなみにグリーン席は30,000ウォンで、100円=1,000ウォンを超えている限り、韓国発の方がお得だ。グリーン席の体験乗船なら、往路普通席、復路グリーン席にしておけば安かったなと思ったが、後の祭り。おとなしく狭い座席に収まって、海を超えた。

 7日間の思い出を胸に、博多港到着。あっさりした入国手続きを終え、自宅に戻り、そのまま出発。正月2日恒例の、地元の友人での集まりに行くため、故郷へ向かった。明日は親族の集まりもあるし、僕の「日本の正月」はこれからだ。

 


▲開発すすむセンタムシティー


BEXCOは子供たちでいっぱい


▲ビートル3世で正月の日本へ!
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旅のご参考に…旅の支出一覧(7日目)

支出 購入場所 金 額(ウォン) 金 額(円) 金額(以前のレート)
2009年1月2日
ロッカー保管料 中央洞駅 1,000 72 125
釜山地下鉄1日乗車券 中央洞駅 3,500 254 438
自販機コーヒー 大渚駅 300 22 38
石焼ビビンバ ホームプラス センタムシティ店 5,000 362 625
もちクッキー(12個入り) ホームプラス センタムシティ店 3,180 230 398
チューブ入りコチュジャン(3個入り) ホームプラス センタムシティ店 4,600 333 575
スパム(小) ホームプラス センタムシティ店 1,790 130 224
缶入りツナバーベキュー味(4缶) ホームプラス センタムシティ店 5,850 424 731
のり(16袋入り特価品) ホームプラス センタムシティ店 3,980 288 498
レトルトチャジャン(3個入り) ホームプラス センタムシティ店 1,650 120 206
自販機コーヒー センタムシティ駅 300 22 38
レンタル携帯(本体) SK TELECOM 0 0 0
レンタル携帯(国内通話料) SK TELECOM 1,600 116 200
レンタル携帯(国際通話料) SK TELECOM 2,251 163 281
レンタル携帯(文字メッセージ) SK TELECOM 2,500 181 313
レンタル携帯(税金) SK TELECOM 635 46 79
たばこ 免税店 17,600 1,275 2,200
燃油サーチャージ 釜山港 15,000 1,087 1,875
ビール2缶(免税) ビートル船内 300 300
ビートルストラップ(特価品) 300 300
本日計 70,736 5,726 9,442
総計 454,178 72,690 99,409
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