▲TOP ▲鉄道ジャーニー

ゲキ★ヤス 梅雨の晴れ間旅行
2日目[前] 宮崎2大都市探訪

宮崎市内散策

 休日サービスの朝食を美味しく頂き、8時前から行動開始!南国らしくビビッドカラーでデザインされた駅舎が、これまた南国らしい真っ青な空に映えてキレイだ。梅雨ということを忘れてしまいそうな天気、今日も暑くなりそう。
 ひさびさに宮崎空港駅をのぞいてみようと、下り電車に乗り込んだのだが、大淀川を渡っているうちに気が変わり、南宮崎で下車。バス交通の中心、宮交シティへと歩みを進めた。きっぷ売り場で、平和台公園行きのバスについて聞いて見れば、中心部で一旦乗り換えになるとのこと。宮交シティからなら、市内どこにでも行けると思っていたので想定外だ。
 とりあえず市内行きバスに乗り、その名も「デパート前」で降りてみれば、平和台公園行きのバスは出た直後。しかもホテルからはほど近い場所で、最初から歩いてくればよかった。

 腐っていてもしょうがないので、近場の見所を見て回った。橘通は宮崎のシンボルロード。ヤシの木が真っ直ぐに立ち並ぶ、これぞ宮崎といった街路だ。歩道にアーケードがかかるのは、こんな日差しの日にはありがたい。屋根のない自転車専用道が設けられているのも、特徴的だ。平野部の多い土地だけに、自転車の活躍舞台は多いのだろう。
 深い木々に覆われた県庁前の並木通りを抜け、近頃メディアへの露出も多い宮崎県庁へ。昭和初期に建てられた、歴史的な庁舎建築だ。古いながらも耐震強度は立派に満たしているとのことで、外見を変えることなく立派に現役。週末ということで中には入れなかったが、東国原知事の等身大ボードのある玄関ホールまでは、現場の警備員の判断で中まで招き入れてくれることも多いようだ。早朝から観光客の姿も見え、知事効果まざまざである。

 ほど近くの南別館ものぞいた後は、県庁前のバス停から平和台公園へ。経営難に陥った宮崎交通だが、支援を受けつつ積極経営を進めており、バスはノンステップ、ICカードの普及率も高い。ゆったりした市街地を走ることしばし、木々に覆われた平和台公園に到着した。
 バスは麓までしか入らず、バス利用者は公園へ石段を登っていかねばならない。バスの案内所では大変ですよと脅されたものだが、木陰は涼しく余裕で登った。
 この公園のてっぺんに立つのが、平和の塔こと「八紘一宇塔」。戦前、紀元2600年記念事業の一環として建てられた、宮崎の観光名所の一つだ。日本全国や当時の戦地から石の寄付を受け建てられたというが、現地部隊が朝鮮や満州から持ち込んだ貴重な石もあるとの問題提起もなされている、日本の戦争の影も背負った塔だ。あまり、現地では多く説明されないようではあるが…
 実際見てみれば、その重みたるや、現代ではとうてい作りえない産物だろうと思う。歴史的事実を鑑みつつも、純粋に芸術品としても見つめたい塔だ。公園内には埴輪園や展望台もあって、楽しめる。

 市内に戻り、初めての宮崎市街地をぶらぶら。ごちゃごちゃせずすっきりした街並みながらも、裏道探索の楽しみもある街だ。隣接都市まで距離があることもあり、市街地の衰退も激しくはない模様。デパートは朝から賑わっている。
 じっくり歩いてみたかったのだが、なにせ暑い! 街の温度計を見れば、なんと36℃を指している。今年から登場した「猛暑日」という定義だが、早くも初体験である。デパート内のスタバで冷たいラテを飲み、一息ついた。
 こんな日差しがあるからなのか、アーケード街は四国並みに発達していて、自転車に乗っての通行がOKなのも、彼の地と同じである。ただ駅前にまで達していた駅前アーケードは、店が減ったためか撤去されたようだ。街にとってアーケードには功罪両面があるものの、今日ばかりは残っていてほしかった。



▲朝日に輝く宮崎駅


▲風格ある宮崎県庁


▲八紘一宇塔


▲猛暑日36℃超え

空港から都城へ

 朝に取りやめた宮崎空港線に乗るため、あらためて宮崎発の空港行き普通電車に乗った。783系ハイパーサルーンの5両編成で、間合い運用のようだ。全席禁煙が原則の普通列車だが、この列車では「にちりん」「ひゅうが」と同様に5号車が喫煙車扱い。原則を貫き、たばこ臭いまま禁煙車とされるよりは、現実的かつ親切な措置だ。
 南宮崎から日南線に入り、狭い島式ホームの田吉へ。ここから乗り込む親子連れがいて、意外な需要に驚く。日南線から分かれて空港線に入り、低めの高架橋にあがれば、あっという間に宮崎空港駅着。がら空きだったとはいえ、5両もあればそこそこの乗客で、改札には列ができた。他都市とは距離があり、航空依存度は高い宮崎県。空港線の定着は、必然だったろう。
 駅舎のデザインは宮崎駅と共通で、兄弟駅ともいえそう。ターミナル前はやはり熱帯植物がならび、亜熱帯の雰囲気を演出。さらに今日のような天気とあっては、本州からの人は強く南国を意識するだろう。

 梅雨時期ながらに賑わう宮崎空港。屋上に上がってみれば、ちょうどエアコミューターのボンバルディア機が着陸するところだった。心の隅で思わず「車輪は出るかな?」と不安になったが、スムーズに着陸できた。2,500mの滑走路を半分以上余しており、小規模空港で重宝されているのが良く分かる。ボーディングブリッジは届かず、ターミナルへはバス連絡。灼熱の滑走路は辛かろう。
 帰路の宮崎行き普通も、やはり485系のアルバイト運用。年季の入った電車からは、覆い隠せない「加齢臭」を感じる。前回、98年に乗った時には、ビュッフェ車を連ねた787系「つばめ型」が乗り入れており、本州からの乗客が「すごい電車ね」と感嘆するのを聞いて鼻が高かったものだが、今はサービスダウン気味。九州新幹線全通で中古車がまわってくるまで、我慢の宮崎だ。

 南宮崎で乗り換えた普通電車は、817系。革張りシートのお洒落な電車だが、座席が少なく厳しい評価を下す人もいる車両だ。空いている昼間に乗れれば、窓も大きく快適な電車で、田んぼと山の緑を満喫しながらの旅になった。
 一度降りたことのある都城を過ぎ、西都城駅へ。地方都市のサブターミナルながら2面3線の高架駅。サブとはいえ官庁街にはこちらが近く、市の玄関口としての威信をかけた駅だったのだろう。とはいえ国鉄時代のまま手の入っていない内装は、暗い。夜など、危険を感じるほどではないだろうか。サイン看板にも国鉄時代の意匠が残り、懐かしくはあるのだけど…

 猛暑の中、汗をかきつつたどり着いたのは、都城市民会館。現在は取り壊しに向け閉鎖中だが、保存か解体かで激しく議論された建築物でもある。半円に鉄骨が覆いかぶさったその意匠たるや、迫力に圧倒されてしまいそうだ。一方で、雨どいからの水をあえて「見せる」、芸の細かい意匠も見られる。
 文化財的な価値を見出すには、まだ難しい時代の建築物だが、当時の意気込みを無に帰させてしまっていいものなのだろうか。都城市税を納めている立場だったら、もっと違う感慨になるのかもしれないけど…。
 都城市役所にも足を伸ばしてみたが、立派だ。人口17万を有するとはいえ、平成の大合併の結果。大きすぎるんじゃない?と思いよく見てみれば、最上階には空が見えているではないか。熊本駅と同様、はりぼてフロアを持つ建物なのだった。文化会館といい駅といい、県2番目の中核都市としての「意気込み」を感じる市だ。市街地には勢いがないようだが、ファイトだ。

 


▲11年目の空港駅


▲ボンバルディア機無事着陸


▲手小荷物取扱所の字も残る西都城


▲ド迫力の市民会館

▼2日目[後]へすすむ

inserted by FC2 system