▲TOP ▲鉄道ジャーニー

九大新キャンパス アクセス点検!

博多〜伊都を往復してみれば

 2005年10月1日、九州大学の第1期移転計画が完了。伊都キャンパスでの研究・教育活動がいよいよスタートしました。

 従来の箱崎や六本松キャンパスに比べて、都心から遠く、不便だとの懸念がなされていましたが、JRと昭和バス、西鉄バスの3社によって、市内〜キャンパスには2つのアクセスルートが整備されました。

 2つのルート、どちらが便利か?課題は?開講1ヶ月目の11月某日、体験してきました。

往路:地下鉄〜JR筑肥線〜昭和バス

 往路は、地下鉄と路線バスを乗り継ぐルートを体験。まずは博多駅から、JR新駅の九大学研都市へ向かいます。

 博多駅から姪浜までは福岡市営地下鉄、その先はJR筑肥線になりますが、電車は直通していて便利。ただ運賃は2社合算になるため、16.3kmで510円かかります。

 JR1本ならば、360円の距離なんですが…。


 筑肥線の直通電車は、筑前前原まで1時間に4本。ほぼ等間隔の、時刻表がいらない便利なダイヤです。

 地下鉄線内は混雑していた電車ですが、昼間とあって、姪浜ではだいぶ余裕ができました。


 やがて電車は海沿いを走るようになります。途中ではトンネルもくぐり、福岡市内とは思えないのどかな光景。

 こんな通勤・通学だったら心なごみそうと思うのですが、毎日のこととなると、あまり気にかけなくなるのでしょうね。


 博多駅より30分で、九大学研都市駅に到着。

 今年開業の新駅ですが、鹿児島本線の新駅ように待避線があるわけでもなく、島式ホームが1面あるだけのシンプルなつくり。高架下の駅舎も最小限で、コンビニやキオスクなどもありません。
 ホームから周囲を見回してみても、空き地ばかりが目立ちます。

 また、実は九大新キャンパスには隣接の周船寺駅の方が近く、今宿駅周辺も賑わっています。何もない所に何のための新駅?今宿、周船寺の方が便利だよという声も、一部にはあります。

 ただ、今宿、周船寺駅周辺は福岡のベットタウンとしてすっかり建て込んでおり、更に九大生を受け入れる余地は少ないともいえます。その「開発余地」を作るための新駅とも言えるかもしれません。
 これからの駅です。



 乗り継ぎバスまでの時間もあるので、現時点での駅周辺を歩いてみました。
 一番目立つのは、駅前に建設中のジャスコ。駅前立地で車でも便利な店になりそうで、駅見物に訪れていた地元の人も、一番関心を持っていました。

 また、駅レンタカー九州運営によって、パークアンドライド用のコインパーキングも1日300円という格安料金で設けられています。ただし舗装されていない状態です。


 バスがやって来ました。バス停の周りには屋根はおろか椅子もありません。駅側のコンコースの待合設備も充分とはいえず、乗り継ぎのタイミングが悪い時には辛そうです。

 福岡市の西部地域なので、昭和バスによる運行です。当然、西鉄のバスカードや「エコルカード」は使えないので、西鉄バスエリアに住んでいる人はご注意を。

 平日は1時間に2〜4本が確保されている駅〜大学間のバスですが、休日には1〜2本になってしまいます。電車の時刻は確認不要ですが、週末にはバスの時間に合わせた行動が必要です。
 しかも夕方の大学行きとあって、乗客は僕一人でした。


 バスはのどかな田園風景の中を走り行きます。九大移転に伴って、この辺りの風景も変化を見せるのか。
 まだ変化は始まったばかりです。


 新キャンパス情報発信基地「ビッグオレンジ」に停車し、終点の工学部前に到着。巨大な校舎が出迎えてくれました。

 博多からここまでの運賃は…

区間 運賃 学生定期(1ヶ月)
博多〜九大学研都市 510円 11,140円
九大学研都市駅
〜九大工学部前
330円
(一般回数券250円)
(学生回数券192円)
11,880円
(回数券20日分なら
7,680円)
合計 702円〜840円 18,820円〜23,020円

 乗り継ぎ時間の短い便を選べば早く、時間も比較的正確なルート。しかし学生さんにとっては、かなりの負担になる金額だと思います。
 所用で訪れる人にも負担で、乗り継ぎ割引や往復割引などの設定が望まれるところです。

復路:西鉄急行バス

 新キャンパス滞在10分で折り返し(笑)、復路は天神・博多へ直行の西鉄急行バスを利用してみましょう。こちらは平日に2〜5本/h、休日は1時間に1本の運行です。

 路線バスタイプの車両を運行とアナウンスされていたこの路線ですが、やってきたのは高速バス仕様の新型車両。短くはない通学時間、休息に、勉強に使える優等車両の導入は、大賛成です。


 バスはノンストップで、山を駆け下ります。バス停を設ければ地元の元岡や今宿などにとっても便利な路線になりそうですが、昭和バスの営業圏ということで難しい面があるのかも。

 麓に降りたバスは西九州道今宿インターを通りますが、ここで高速には乗らず、一般道を走って都市高速石丸インターへ向かいます。
 あくまで路線バスのため、正規の高速道路を走れないという事情があるのかもしれませんが、この間の一般道も時間によってはこのような混雑。

 高速に乗れれば、5分以上の短縮が望めそうです。


 石丸料金所着。ようやく都市高速に入り、急行バスらしくなります。


 都市高速からは、海やシーサイドももちのドーム、タワーも望めて、変化に富んだ楽しいルート。ですが毎日のこととなると、やっぱりどうでもよいことかも。

 天神北インターを降りてから夕方の渋滞に捕まりましたが、それでも天神北着は定刻より3分早く、工学部前から42分で到着です。


 天神コア前、渡辺通りなどに停車し、博多駅へ。定刻より2分遅れで、所要54分でした。平日の昼間ならば、もっと早く走れるでしょう。
 この間の運賃は、

区間 運賃 学生定期(1ヶ月)
九大工学部前〜博多駅前 650円 21,240円

 となり、利用日数によってはJRルートの方が安そうですが、この区間では、福岡都市圏学生フリー定期「エコルカード」を使えるのがポイント。
 これを使えば、福岡市内のバスはもちろん、北は宗像、南は朝倉まで1ヶ月6,000円でフリー乗車できますので、これを使わないテはありません。


 市内からの距離は、いかんともしがたい新キャンパス。交通機関はかなりのレベルで整備されていますが、その利便性も距離には勝てず、不評を招いているのが現状といった所です。

 まだまだ移転第一段の新キャンパス。この先15年かけて全面移転が完成すれば、学生も増え、交通機関もさらに整備されるものと予想されます。交通3社の、絶え間ぬ努力に期待します。

---
参考リンク
JR九州昭和バス西鉄バス
エコルカードのページ九州大学新キャンパス
inserted by FC2 system