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ぐるり北海道+α 1日目
大分〜長浜 長浜鉄道記念館を訪ねる


西大分港で出港を待つクイーンダイヤモンド
(9月30日)

ダイヤモンドフェリー
四国寄航便しかないので関西〜大分の時間はかかりますが、各種割引で格安運賃で利用できるフェリー会社です。


寝台電車を改造した普通電車(米原駅)

長浜鉄道記念館
長浜鉄道記念館

長浜市

 2001年10月1日午前5時半、「クイーンダイヤモンド」は神戸港・六甲アイランドフェリーターミナルに到着した。昨日午後4時に西大分を出港してから、はるばる13時間余りの航海は、揺れもなく平穏そのものだった。しかし神戸で待っていたのは、台風崩れの低気圧がもたらした大雨。接続のフェリーバスは満員で乗れず、雨を避けながら後続便を待つ。

 今回の北海道旅行では、「ぐるり北海道フリーきっぷ」を使うことにしている。JR東日本・北海道のきっぷなので九州発の設定はないが、使いでのある格安チケットだ。まずは東京まで行かなくてはならないが、せっかくなので東京往復も「旅」として楽しみたい。いろいろと策を巡らせた結果、往路はまずダイヤモンドフェリーで関西へ渡航と相成ったのだった。

 ようやく次のフェリーバスが到着。毎回このバスで「本土」へ渡っていたが、今回はアイランド北口駅で六甲ライナーに乗り換えてみた。ところが始発電車が出たばかりで、次は20分後。あのままバスに乗っていた方が、早く安く着けた。どうもうまくいかない。

 六甲ライナーはJR住吉駅、阪神青木駅と六甲アイランドを結ぶ、無人運転の新交通システムだ。六甲大橋を渡って住宅地に入ると、プライバシー保護のために窓ガラスがフッと曇る仕掛けが面白い。無人運転というのも新鮮で楽しい乗り物だが、均一240円という高運賃には、毎度泣かされる所ではある。

 JR住吉駅に到着。ここからは快速と夜行列車を乗り継ぎ、東京を目指す。18きっぷのシーズンでもないのに普通・快速にこだわるのもどうかと思うが、近鉄名阪特急や夜行高速バスなどといろいろと比較した結果、これが一番経済的だったのだ。手にしているのは、神戸市内→東京都区内・東京都区内→福岡市内の「連続切符」。連続切符とは、一部区間だけが往復になっているなど、片道とも往復ともならない区間の乗車券で、往復切符のように割引はない。それならば、個別に片道券を買っても同じでは? と思われるかもしれないが、連続券なら払い戻す際に手数料が一枚分しかかからないし、学割ならば学割証が1枚で済むというメリットがある。特に学割証が年2枚しか交付されない中高生諸君は、覚えておいて損はないですゾ。

 自動改札を抜け、米原行きの快速電車へ。大窓が気持ちいい快適電車の211系に揺られ、大阪・京都で早起きの通勤客を降ろしてゆく。京都からは各駅停車となり、辛抱強く米原まで耐えた。米原からは東海道本線を「脱線」し、北陸本線の長浜を目指す。待っていた電車は、かつて寝台電車として活躍した583系を改造した普通電車だ。特急サイズのボックス席に吊り革がぶら下がり、寝台の構造もそのまま残された、妙な雰囲気だ。それが懐かしい。老朽化のため、同じタイプの電車は九州・東日本ともに全廃されており、こちらも老い先長くはなかろう。

 長浜駅から徒歩5分ほどの所にあるのが、旧長浜駅舎・長浜鉄道文化館だ。長浜はかつて、琵琶湖の汽船と連絡する「鉄道の街」だった。1882年に建てられた長浜駅舎は、日本で初めてのコンクリート建築物(無筋コンクリート)で、現在では資料館に再生され、静かに余生を送っている。

 まだ開館時間から10分も経っておらず、掃除中ですといった雰囲気だ。天井はのびのびと高く贅沢で、拠点駅として重要視されていたことが伺える。階段の吹き抜けから屋根裏をのぞいてみると、屋根は木材で支えられていた。主に建物を支えているのは、木構造なのだろうか。興味深い。かつての駅長室、1等待合室なども再現されているが、マネキンではない本物の「乗客」がいない駅はやはり寂しい。駅は駅として使われている方が、生き生きとしている。ぜひ現役の頃にお目にかかりたかったな、との思いを抱いた。

長浜〜犬山 4時間でまわる明治村

明治村の画像は、こちらのページも参照ください


JRセントラルタワーズ。高い!

JRセントラルタワーズ

名鉄


明治村の京都市電


旧帝国ホテルロビーin明治村


明治村の陸蒸気

明治村

 長浜はこの他にも見どころ盛り沢山の街だが、天候は悪いし先も急ぐので、新快速で米原へ戻った。再び東海道ルートの人となり、関ヶ原を越える。遅れ気味だった姫路方面の新快速を待ったためこちらも遅れ、お蔭で大垣駅の乗り換えはダッシュとなった。

 大垣からは、快速電車が頻発していて便利な区間だ。特に岐阜〜名古屋間は、尾張一宮のみ停車の18分運転で、この区間の表定時速はなんと101km! ところが編成はわずか4両で、大垣から既に満員だった。名岐間のライバルで、岐阜始発の名鉄が「始発で座れる」ことをウリにしているのが、実感として分かった。

 朝からろくに食べ物を口にしておらず、空腹のまま名古屋へ到着。というわけで、脇目もふらずに「きしめん」スタンドに直行。あげ、削り節がのっかった幅広の麺をすすると、名古屋に来たなぁという気分になる。荷物をロッカーに預け、ひとまず高層ビルへと生まれ変わった「名古屋駅」の全貌を見ようと駅前へ。しかし、ビルから離れても離れてもフレームに納まりきれず、その大きさを身をもって体感。

 今夜は夜行で東京へ向かうので、夜までほぼ一日フリータイムだ。そこで今回は、犬山の明治村を訪れることにした。建築学を学ぶ者としても、鉄道を趣味とする者としても楽しい屋外博物館だ。犬山へは名鉄電車が一番便利。しかも往復電車+バス+入園料込みで2,810円という割引チケットがあり、予定より数百円安く済んだ。

 名鉄のターミナル駅・新名古屋は、地下に2線3面のホームを備えただけの通過駅。これだけの施設で、中京一円に広がるネットワークの電車をさばくのだから、毎度来るたびにすごいと思う。ミュージックホーンを鳴らしながら出入りする真っ赤な電車、きっとこれも一つの“名古屋名物”だ!

 前面展望バッチリの「パノラマカー」が来ることを期待したが、犬山方面の急行は普通の通勤電車だった。通勤電車でもクロスシートを提供している名鉄は立派だと思うけれど、ピッチも幅も狭く身動きもままならない。直前をガラ空きで発車していった、全車特別席の特急列車を、うらめしく思い出していた。

 犬山からは路線バスに乗り継ぐ。途中までは生活バスだったが、山道へ入るとガイドが始まった。思っていたよりも山奥にあるのだな。僕の他、3人を乗せて明治村正門前に到着した。閑散としているが、10月の平日とあってはこんなものだろう。ただいま午後1時、閉園の5時までは4時間ある。村内の見学には2時間程度を見るようにとパンフレットに書いてあるので、これだけの時間があれば十分だろう。さあ回るぞ!

 「村」というだけあって、山の中に建物が点在している。明治の街へタイムトリップした、という感覚にはならないが、元々は別の場所に建っていた建築物なのだから、街並みを作ったとしてもそれらしくなるわけがなく、その手法は納得だ。

 もっとも印象に残ったものはといえば・・・ 帝国ホテル中央玄関だろうか。細かな装飾、漏れる光で雰囲気は満点。ゆったりしたソファに腰を降ろせば、しばらく動きたくなくなった。かなり天井は低いが、吹き抜け部分が視線に入る位置ならば、さほどの窮屈感はなく、むしろ落ちつく効果があるように感じた。なぜ元々の位置にホテルとして残せなかったのかな、と思いつつも、ホテルのままだったらおそらく入る機会はなかったろうな、とも思う。

 宇治山田郵便局は、現役時代の用途を尊重していて、今でも簡易郵便局として機能しており、好感を持つ。やはり「現役」の方がイキイキする。多くの建物は内部は資料館になっているが、例えば病院なら医療関係といった具合に関連性を持たせており、見て回るうちに明治時代全般について学べる仕掛けになっている。ただ展示物を陳列しただけの博物館より、ずっと「生きた勉強」だ。

 乗り物関係も楽しい。吊り掛けモーターを唸らせ、ポールを揺らし走る元京都市電「N電」は貴重品だ。乗務員さんのアナウンスもどこか「明治風」に決めている。ダム湖や森といった緑豊かな車窓は、現役時代に得られなかったものだろう。一方、山の中を走る蒸気機関車も、軽便規格の客車といい、バッファー式の連結器といい、他ではなかなかお目に掛かれるものではない。蒸気動車や御料車も保存展示されており、鉄道好きとしても楽しめた。

 それぞれさほど時間をかけて見学したわけでもないのに、2時間どころか4時間でも時間は足りず、だいぶ見残してしまった。じっくり見ようと思えば、一日かけるべきだ。再訪を誓い、明治の村を後にする。

犬山〜名古屋 デザインの街の夜


ナディアパーク


名古屋テレビ塔

 犬山駅前イトーヨーカドー内のうどん屋で「味噌煮込みうどん」をずるずるっとすすり、名鉄電車で名古屋へ戻る。もう6時を過ぎてすっかり夜となってしまったが、まだまだ名古屋での時間はたっぷりある。地下鉄桜通線で久屋大通へ、さらに名城線で矢場町へと向かった。

 デパートやファッションビルの立ち並ぶ名古屋の中心、そんな一角にそびえ立つのがナディアパーク。その中の国際デザインセンターにあるのが、デザインミュージアムだ。生活や社会のなかに溶け込んでいる「デザイン」を集めた、ミニ博物館だ。夜8時まで開いているのが嬉しい。

 入ってまず目を引くのが、4台並ぶ「コレクションタワー」。電話や家電といった、身近なモノのデザインの変遷がストーリー仕立てで楽しめる、動く展示ケースだ。一巡するのに結構時間がかかるが身近なモノだけあって楽しく、ついつい4台のうち3台も見てしまった。

 企画展示は、60〜70年代の日本人デザイナーによるモダンチェアー。本などでお馴染みの作品が現物で見られるだけでなく、いくつかは「座ってみてください」とあった。本当にいいのかな、と思いつつ恐る恐る試してみる・・・
 「ふぅ・・・」
 思わず落ち着く。視覚的だけでなく、座り心地から作品を感じることができた。

 ビルを出て、久屋大通まで出た。大通の真ん中に公園があって、テレビ塔が立つ街並みは、札幌と似た街並みだ。ライトアップされたテレビ塔が美しい。これから訪れる、北の都へ思いを馳せた。

 名古屋駅に戻り、新快速電車で刈谷へ。ここから徒歩10分ほどの所にあるスーパー銭湯にて、一日の疲れを落とした。スーパー銭湯発祥の中京地方だけあって、入浴料330円で設備は充実。そりゃ大分の「スーパー温泉」の方が安くて「温泉」だが、それを言っちゃ贅沢ってモンだろう。露天風呂に出れば、雲の切れ間から満月が顔を覗かせた。そういえば今日は中秋の名月だった。こうして露天風呂から眺めるのもオツなものだなと思っていたが、あっという間に厚い雲の中へと消えていった。

 夜道をトボトボと刈谷駅へ。夜とあって静かな街だが、やたら風俗街のネオンだけが明るかった。23時58分、夜行快速「ムーンライトながら」東京行きは、日付も変わろうかという時間に刈谷を出発。18きっぷシーズンでもないオフの平日にしては、そこそこ乗っている印象だ。早起きだった上に歩き回ってクタクタで、改札が終わるのももどかしく眠りに落ちた。座席夜行の夜は、あと2日続く・・・

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