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関西ただ券旅行〆綉沺地下鉄のりまくり旅

それはインターネットから始まった…。

 大学に入ってからインターネットを自由に使えるようになり、空き時間を見つけては学内の「情報処理センター」に足を向けている。鉄道に関するホームページを見るのはもちろん、音楽関係の情報収集や、懸賞への応募などに活用し、趣味の世界を大きく広げてくれた。

 もちろん、昨年の夏に行った“3・3・SUNフリーきっぷ”の旅の時にも、旅行中に役立ちそうな情報をインターネットから仕入れた。往復に使う船も「関西汽船」か「ダイヤモンドフェリー」かで迷い2社のサイトをのぞき、その時は関西汽船を使うことにしたのだが、ダイヤモンドフェリーのサイトにちょっと面白いものを見つけたのだ。

 それはインターネットファンクラブ「ドルフィン倶楽部」なるもの。会員には毎月メールマガジンが送られてくる他、乗船料20%オフなどさまざまな特典がある。そしてその中の「毎月5名様に往復乗船券をプレゼント」になんと当選してしまったのだ。

 車も積み込める乗船券なので、だれか車を持っている人と出掛けようかと考えていたら、いつの間にか有効期限の3月が迫ってきた。春休みは教習所に行かなくちゃいけないし、もはや使う機会はなしか‥‥ しかし、後期試験の時間割をよく見てみると、なんと6日間も試験の空く期間があると分かった。よっしゃ、車の分は無駄になっちゃうけど、この間に行ったろ! かくして、テスト期間中の旅行が決まったのであった。


無料乗船!ダイヤモンドフェリー

 なんということか、前々日に風邪をこじらせてしまった。たしかに冬場に(しかも試験期間に)、3人もの友人を狭いアパートに泊めれば、風邪くらいひくよな‥‥ 試験に影響しなかったのは幸いだったが、旅行は一日延期ということにした。

 仕切りなおして2月16日、日豊本線は西大分駅に降り立った。ダイヤモンドフェリーの西大分港は、駅から徒歩5分と、アクセスは極めて良好(関西汽船の別府港は、別府大学駅から徒歩20分)。2月の平日とあっては、乗る人もまばら。関西汽船と違って、二等は自由席なので、広々と使えそうだ。

 案の定、一部屋にはわずか6人しか来なかった。関西汽船より、一部屋の大きさが小さいので落ちつける。レストランや風呂も関西汽船にひけをとらず、直行便がなく時間がかかること以外はこちらをお勧めしたい。

 それに、関西汽船に比べて運賃が安い。ダイヤモンドには“営業割引制度”なるものがあり、例えば往復割引では、復路がなんと50%オフ!! 他にも前記のインターネット割引や、三橋リターン割引など、さまざまな割引があるのだ。これも関西汽船との競争のたまものだろう。関汽の方も、「グループ船室貸切りプラン」などを用意して対抗している。

 松山に寄港した後は、ひたすら神戸を目指すのみ。明日に備えて、ぐっすりと眠ったのだった。


明石海峡大橋へ朝の散歩

 朝のローカルワイド番組では、大雪による新幹線の遅れと、名神高速の通行止めを伝えている。いやだなぁ、寒いのは!

 連絡バスに乗り込んで、阪神御影駅へ。エリアはますます拡大中の“スルッとKANSAI”対応の「らくやんカード」を買ってホームへ上がると、当たり前だがラッシュアワーを迎えていた。次々にやって来る電車に、「線路は続くよ」の発車メロディを聞いていると、「関西に来たんだなぁ」と感じる。ゾクゾクする。

 自分が乗ったのは、山陽姫路行きの「直通特急」。神戸高速の開通で阪神・阪急〜山陽がつながってから、30年目にして実現した「夢の特急」だ。車両は、阪神の“震災復旧車”9000系。ロングシートで一席毎にくぼみがついている。当地ではJRでも着席区分すら示さないのが常識で、これは珍しい。そこそこ混んではいたが、ピーク時の豊肥本線ほどじゃない(神戸より混む大分の列車、おかしくありません?)。

 まだまだ新しい高架橋の続く被災区間を走り抜け、市内に入ると地下線へ。急に減速したと思ったら、あの極端にホームの狭い春日野道を通過した。三宮で半分、 続く元町でほとんど下りてしまった。ガラガラのまま市内を走り、高速神戸でかなり乗ってくる。うーむ、せっかくの直通なのに‥‥ でもきっと、ラッシュ時に神戸を突き抜けていく人など、そうもいないのだろう。

 山電区間に入ってふたたび地上に出れば、並走するJRより一段高い位置から海を見渡せる。だが、JRの新快速から追い抜かしを食らって、あまり気分はよくない。あちらは今春の改正で、終日130km/h運行を開始する、手強いライバルだ。かといって、新快速並みの停車駅で直通特急を運転したりしたら、ますます乗客を逃がしそうではある。

 山陽垂水駅で下りても、隣り合うJR垂水の盛況ばかりが目についてしまう。後続の普通もがら空きだ。明石海峡大橋最寄りの、舞子公園駅に降り立った。

 自動改札にカードを押し込むと、なんと!!680円も引かれた。いくら3社またがりとはいえ、ちょっと高すぎる。ちなみに、同じ区間をJRに乗ったとすれば400円。絶句。直通特急に乗りたいという目的があったから、まぁよかったものの‥‥ 高速舞子バス停から乗り換える人はほとんど、快速の停まるJR舞子駅へ歩いていった。安くて速くてクロスシートのJR。当然か。

 気をとりなおして、高速舞子バス停に上がってみた。待合室は吹きさらしで、めちゃくちゃ寒い。バス乗り場からは、橋の巨大さを実感することができた。橋たもとの「観光ゾーン」はどこも閉まっているが、朝も早いので当然。寒さもこたえてきたし、そろそろ引き上げ時か。 高いはずなのに、懲りずにまた山電に乗る。須磨から乗った直通特急は、待望の山陽のクロスシート車だったが、混んでいて座れず。いや、むしろちょっと安心したんだけどね。自分は新開地で降りたが、ほとんどの人は先まで乗り通していた。やっぱり直通は無意味じゃないようだ。


神戸線・伊丹線・甲陽線

 さあ、今日のメイン、阪急乗りつぶし!だ。とはいえ、三宮で買い物したり、“平日半額”のファーストフードで遅い朝食を食べたりしていたら、いつのまにか10時半をまわってしまった。ちょっと出遅れたかな?

 さて、なぜ阪急乗りつぶしなど考えたか。これは阪急が、期間限定の一日乗車券“ワンデーフリーパス”なんてものを発売したからだ。値段はわずか800円。神戸・三宮〜京都・河原町を往復するだけでも1200円なのだから、めちゃくちゃ安い。ちなみにこの切符の発売も、インターネットで知った。

まずは三宮から、神戸線梅田行き特急へ。山の手の街中を快走する。西宮北口で、対向ホームに停車中の普通に乗り換え。普通といえども、駅間距離は長いので、阪神の普通とは比べものにならないほど速い。

 塚口で降りて、支線の伊丹線に乗り換える。地上を走っていた電車は、終点の手前で高架に上がる。ここがあの、震災の時に留置中の車両ともども崩壊した伊丹駅だ。バリアフリーに配慮して再建されたということで、すぐの折り返しには乗らずに見物していくことにした(一応、「福祉環境工学科」の学生なんで・・・)。

 ホームから改札口へは、スロープだけで結ばれている。できればスロープもなしで、完全に水平にはできなかったものか‥‥ とは思う。他にも上下エスカレーター完備、段差もなしと、勉強不足の自分にはそれくらいまでしか分かりません。それよりも、駅舎正面から最上階まで、一直線に階段の続くレイアウトが気に入った。

 また来た道を折り返して、西宮北口で神戸線とクロスする、今津線に乗り換える。ただし、クロスしているとはいっても地図上(あるいは過去)の話で、現在は西宮北口を境に、南北に分断されている。おかげでこれから乗る西宮北口〜今津間の“今津南線”は、わずか3駅の盲腸線。4両のワンマン運行だ。

 阪急電車は極力、車内放送は省略する方針とかで、この列車もワンマンにも関わらず、必要最小限の放送しかしない。携帯電話よりも余程うるさい「車内での携帯電話の使用は‥‥」なんてことを延々と繰り返す、某線のワンマンカーも見習ってほしいものだ。

 終点の今津は高架化されていて、こちらもバリアフリーに配慮した駅舎なっていた。乗り換え通路を歩けば、すぐに阪神今津駅。今津南線の役割は、“阪急〜阪神連絡線”のようだ。

 西宮北口から神戸線普通で、夙川まで戻って甲陽線へ。甲陽線ホームは、神戸線上りホームとT字型に接しているが、下り線ホームとは狭い地下道を通って行き来せねばらならない。阪急の乗客は、山の手の上品な人達が多いなんていう逸話があるが、それらしさが一番出ていたのは甲陽線だった。圧底サンダルが溶け込めない雰囲気があった。


今津線・宝塚線・箕面線

 阪急電車の駅は、どこも改札内の店が充実しているが、乗り換えジャンクションの西宮北口は店が目白押し。本屋からマクドまで、なんでもござれだ。

 今度は今津北線の宝塚方面へ。こちらは6両編成でしかも混んでいて、今津南線とは雰囲気が違う。だからこそ、分断などということができたのだろう。もっとも、ほとんど門戸厄神で降りてしまったが‥‥ やがて、宝塚大劇場やファミリーランドが車窓を飾る。阪急の街、宝塚に入った。阪急宝塚は、2面4線の立派な高架駅だ。

 真横にはJR宝塚駅が並んでいるが、こちらは人影まばら。快速増発で利用が伸びているそうで、今春のダイヤ改定ではさらにクロスシートの“丹波路快速”も登場する。一方、阪急では宝塚線の高速化を推進していて、夏からは「特急」が走りはじめる。さて、このライバル競争はどういう展開を見せるのだろうか。

 こちらは阪急の宝塚線で、梅田方面へ向かう。阪急の三大本線の一翼を担う宝塚線だが、今のところの最優等列車は急行だし、それすら途中駅までは各停だ。カーブだらけでスピードも遅い。石橋で降りて、またまた支線の箕面線に乗り換えた。

 阪急は支線でも電車は多いが、ここも10分間隔。雲行きが怪しくなってきたと思えば、終点箕面に着くころには雪がチラつきはじめた。ウヘッ!! 甲陽園と同じく、箕面も駅前は坂道。引けるところまで線路を引きました、といったところだろうか。

 阪急電車で嬉しいのは、どの車両も窓を大きく取ってあること。戸袋窓こそないものの、運転席の後ろの窓も大きく、一番前まで座席があるので、心おきなく前面展望が楽しめる。

 もう2時近いというのに、お昼がまだだった。ちょっと大きな駅にならどこにでもある、改札の中の喫茶店で食べたが、行き交う電車を見ながらの食後のコーヒーは、たまらなく美味しかった。電車はいくらでも出ているのだから、あえて改札内にこんな店を設ける必要もないはずだけど、どこもお客さんが多い。大分駅にもこんな店があればな、と思う。


京都線・嵐山線・千里線

 三路線の分岐駅、十三からは京都線の特急で、一気に河原町まで向かう。ロングシートの通勤電車が主力の阪急でも、京都線では例外的にロマンスカーが活躍。乗り心地の良さに、思わず昼寝してしまう。気づけば、京都市内の地下線に入っていた。

 河原町は、京都随一の繁華街だ。買物や観光客のひしめく、街の雰囲気を味う。そしてすぐさま、大宮まで戻った。ここからは一日乗車券から少し脱線して、京福電鉄嵐山本線、通称“嵐電”で、嵐山までゆく。京都らしく、寺の前を走る併用軌道は魅力たっぷり。こんな時期では観光客も少なく、嵐山に近づくにつれてガラ空きになった。あくまで地元の足のようだ。

 もし京福嵐山〜阪急嵐山を「乗り換え」というならば、こんなに風情のある所はそうなかろう。葉を落とした山々の木々を見ながら渡月橋を渡っていると、心が洗われるようである。ついでに、残る試験も洗い流してほしいものだ。

 嵐山駅は乗・降を分離できるようになっていて、ハイシーズンの活況がしのばれる。嵐山線の各駅は、ホームに行灯風の電灯をぶら下げ、京都らしさを演出。しかしレールファンとして気になるのは、戦時中に不要不急として撤去された、かつて複線だった頃の名残だ。今も単線だが、側線分の土地は手放しておらず、いつでも複線に戻せるようである。一部には鉄橋も残っていたが、これも55年前の名残なのだろうか。だとすれば、なぜそれは金属供出を逃れたのか? 興味尽きない嵐山線だ。

 そろそろラッシュの始まった京都線急行で、大阪方面へバック。途中、上牧付近では東海道新幹線と平行するが、新幹線とのすれ違いとともに、一度見たかった追い抜かれも体験できた。こちらも飛ばしているとはいえ、さすがに新幹線は速い。相対速度も相当のものだった。

 淡路で下車。神戸線の梅田〜塚口は以前に乗ったので、残すは千里線のみだ。千里線は大阪市営地下鉄堺筋線の天神橋筋六丁目から、淡路で京都線と交差、ニュータウンの北千里まで伸びる路線である。淡路では京都線と平面交差で、これが障害になっているのは見ているだけで分かる。

 略して“天六”まで行って、折り返し北千里行きへ。夜の帳が下りる中、通勤客と肩を並べて電車に乗るのも場違いな感じだ。各駅で乗客を吐き出してゆき、十数分。北千里到着。これで阪急全路線乗車だ。特にどうということもない。郵便局の立ち売りが出ていたので、記念にふるさと切手を買い求めた。

 ああ疲れた。

 一駅折り返し、山田からは大阪モノレールに乗り換え。運良くモノレールでは珍しい、クロスシートの車両が来たが、座るまもなく次の千里中央で下車。ちょっとしたレジャーゾーンになっていて、次ぎにくる機会があれば見てみよう。北大阪急行電鉄の電車で、梅田方面へ行く。車両はちょうど、北大阪の“ポールスター”。緑の椅子に、木目調の壁、ヨロイ戸と、阪急電車そのものの内装でびっくりした。

 緑地公園で下車。今宵の宿は、ここのユースホステルだ(これもインターネットで調べた)。ユースらしいユースは初めてで、国際交流に悪戦苦闘したのだった。国内旅行でも電子辞書は必携だ。いや、もっと英語を勉強しろということか‥‥


ラッシュの御堂筋線体験

 都心から近いとはいえ、広大な緑地公園の朝は静か。サラリーマンの皆さんとともに、北大阪の緑地公園駅まで歩いた。

 北大阪〜市営の境界駅、江坂で下車。北大阪だけを使えば、緑地公園〜江坂80円と、激安運賃だ。ここで、大阪市営地下鉄の「ノーマイカーフリーチケット」を購入。この切符は、金曜と20日の「ノーマイカーデー」のみ有効の一日乗車券。市営地下鉄、市バス全線乗り放題で600円は安い。ちなみに、その他の日の「一日乗車券」は850円だから、大阪に行くなら金曜日が狙い目だ。

 時刻は9時前と、ラッシュの終盤を迎える時間。大阪一の混雑率を誇る、御堂筋線のラッシュを体験することになった。確かにかなりのものだったが、本町、心斎橋、難波とどんどん吐き出されてゆき、混雑する区間は極めて短かった。

 この後は、ラッシュと逆方向でガラガラになった。地下鉄は走る。地下を走る。延々と‥‥郊外まで伸びる路線なのだから、途中で地上に出るものとばかり思っていたが、結局終点なかもずまで30分以上、闇の中を走りつづけた。最初は、「今日は大阪地下鉄全線走破だー!!」なんて意気込んでいたが、さすがの自分も早々に断念した。もし本気で「日本の鉄道乗りつぶし」なんて企てたら、辛いことになりそうだ。

 沿線の様子も知っておきたいので、帰路はサッカーで有名な長居で降りてみた。駅前の公園で目に付くのは、段ボールの家々‥‥ 昨日見た淀川の河原も相当なものだったが、不況の世の中を思い知る。

 再び電車に乗り、天王寺で下車。天井の高い、荘厳な地下駅だ。長い連絡通路を歩き、谷町九丁目へ。更に千日前線に乗り換えて、桜川で降りた。ここから歩いてすぐの所にあるのが、時代から取り残された駅として有名な、南海電車汐見橋駅だ。歩道橋から見ても、そこに駅があると一瞬気付かなかった。存在感がないというより、自ら存在感を消しているようにすら見える。電車から降りてくる人も、ほんの数人。利用価値のない路線なのかな?

千日前線の終点、野田阪神(!)まで乗る。野田阪神は名前の通り、阪神野田駅に近いほか、JR東西線の海老江とも結ばれていて、乗り換えに便利な駅だ。

 ふたたび千日前線で阿波座まで戻る。ここから、中央線に乗り換えて弁天町へ。中学二年以来、ひさびさの交通科学博物館へ足を運んだ。平日の科学館などがら空きだろうと思っていたが、園児や身障者の方の団体で、けっこう賑わっていた。それでも以前は人目を気にしてできなかった、221系運転シュミレーターも思う存分楽しんだ。新幹線食堂車さえ店じまいした今、貴重なブルートレインの食堂車を使った喫茶店で昼食。しかし本物の食堂車が忘れ去られた時、この食堂も、ただの廃物利用レストランに成り下がってしまいかねない。

 中央線の終点、大阪港からは、無料の渡船「天保山渡し」で桜島まで抜けようと考えたが、ちょうど出たばかりでしばらく船がなく、来た道を引き返した。弁天町でまた降り、一駅だけJRに乗って大正へ。別払いとはいえ、今やJRでもっとも安い運賃となった、大阪電車特定区間の初乗り運賃120円だったから、さしたる負担ではなかった。


長堀鶴見緑地線を乗り降り

 大正から大阪市内を横切るのが、まだまだ新しい地下鉄・長堀鶴見緑地線(長鶴線)だ。

 長鶴線の特徴と言えば、なんといってもリニアモーターを採用していることだろう。車両は小さく、トンネル断面を縮めて、コストダウンを図っているのだ。しかし、長鶴線は決して安っぽい地下鉄ではないから面白い。

 まず驚かされるのが、発車メロディの荘厳さだろう。パイプオルガンとコーラスを組み合わせたような、重奏のメロディなのだ。電車の警笛も和音だ。そして、主要駅の内装がこりに凝っている。

 最初に降りたのは、大阪ドーム前千代崎駅(長い‥‥)。この駅はブルーが基調で、水中のイメージか。地上に出るとすぐ、波状の屋根が面白い大阪ドームがお出迎え。シーズンオフとあっては静かなもので、長居する気もせず早々に退散。

 次は、大阪ビジネスパーク駅で降りてみた。地上に広がるのは、高層ビルの立ち並ぶ近未来都市。いつの間に、こんな街を作り上げたのだろうか。大阪のマンハッタンといったところだ。

 とりあえず終点の門真南駅まで乗り通した。電車から降りたのは、両手で数えられる程の人数。地上には「なみはやドーム」がどーんとある以外、見事に何もない。いや、ないといっては失礼だろうが、地下鉄を引っ張ってくる理由になる程の建造物は、ドーム以外に見当たらないのだ。そのドームとて、人っ子一人いなくて、恐ろしくなるほど。イベントがある日は賑わうのだろうし、バスの乗り継ぎターミナルとしての機能もあるのかもしれないが、それにしても‥‥

 折り返し、花博跡地の鶴見緑地へ。意外にも、鶴見緑地駅は普通の内装だった。島式ホーム一本で、よく万博の客をさばいたものだ。鶴見緑地はとにかく広く、とても全部見て回れないし、見ようとも思わない。決して市街地から遠くはない場所に、よくこれだけのものを作ったものだと感心することしきりであった。

 寂しい所ばかりだったので、庶民の賑やかな街、鶴橋駅前界隈をのぞいた。関西風うどん(いつも食べているやつだが)をすすり、大阪に来た気分を味わう。

 午後4時をまわったが、もう一路線、堺筋線くらいは“乗り潰す”ことができそうだ。中央線で乗り残していた森ノ宮〜本町も乗りつぶし、御堂筋線で動物園前まで抜ける。堺筋線に乗り継ぎ、終点天下茶屋へ。NHKの連ドラの舞台にもなった下町だが、駅は立派。南海電鉄と一体化した駅舎で、接続駅はこうあるべきだ。

 天六方面は、堺筋線内のみの運行にも関わらず、阪急の電車だった。昨日はずいぶんとお世話になった落ちついた車内の雰囲気を、もう一度味わえるとは思わなかった。終始がら空きのまま、ほぼ24時間ぶりの天六に戻った。

 谷町線を経由して、午後5時東梅田着。これにて地下鉄乗り歩き、打ち止め!


1時間半の梅田観光

 せっかく大阪まで来たのだし、少しは観光のようなこともしよう。

 まずは、鉄道書充実の大型書店、旭屋に足を運び、面白そうなミニコミ誌を手に入れた。人によっては、どこが観光だと言うだろう。

 地下に降りてみると、地下鉄、JR、阪神、阪急を乗り換える通勤客の、それは太い流れが出来上がっていていた。うかうかしていると、本当に流されてしまいそうだ。郵貯のATMを探してたどりついたのは、阪急梅田駅のコンコースだった。かつての梅田駅ホームの跡地なのだが、あまりの荘厳さに息を呑んだ。戦前からの地下鉄駅にしてもそうだが、大阪の鉄道建築はどこも豪華だ。

 阪神駅の方に転身し、阪神百貨店地下の「阪神スナックパーク」へ。たこ焼き、いか焼き、お好み焼きと大阪の味を気軽に、しかも大阪人と同じ視線で食べられる店だ。「持ち帰り不可、6個入り」のたこ焼きというのが新鮮だ。たこ焼きを店で食べていくと言うこと自体、九州人からは奇異に写るのだが、6個入りというのはどう考えても一人分。一人で立ち食いで、ハフハフ言いながらたこ焼きを食べる。これが当然の行為で、実際そうしている人ばかりだったことに、ちょっとしたカルチャーショックを受けたのだった。

 そろそろ、大分へ引き上げる時間である。阪神梅田へ足を運んで、「直通特急」で2日振りの御影駅へ。フェリーバスで六甲アイランドに渡り、神戸港フェリーターミナルに帰ってきた。港の前に停まっているバスには、黒々とした制服の軍団が。ゲっ、修学旅行‥‥?

 騒がれては迷惑なので、よほど2等寝台に移ろうかとも考えたが、出費が惜しく断念。一般客も多いし、早く並んでいい席を確保するのみ! と急いだが、乗ってみると乗船券に番号を書き込まれ、「ここへ行ってください」と言われる。あまりの混雑に、整理が行われたのだ。 行ってみると、「ここ」は2等寝台だった。2等に収まりきれず、寝台に回されたのだ。修学旅行生に感謝! 同室の人も、自分みたいな一人旅の若男ばかりで、2段ベッドと相まってユースみたいだった。

 関西から帰る時の「儀式」として、明石海峡大橋をくぐるのを見届けてから就寝。

 翌朝は到着時間に余裕があるので、のんびりと過ごす。大分港に降り立つ自分を迎えたのは、みぞれ交じりの雨。大分駅にやってきた豊肥本線の列車は、前にびっしりと雪がくっついている。内陸に向かうにつれて、どんどん沿線は真っ白になってゆく。いつもは見れない風景に、自宅アパートに着くまで旅気分は続いたのだった。

 ところで、今回の旅で観光らしい観光をしなかったのには、わけがある。別の懸賞で関西汽船の往復ペア乗船券を当てていて、また大阪に行く機会が出来たのだ。というわけで次回「関西タダ券旅行・大阪食い倒れ編」に乞ご期待(!?)。

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